国土交通省の秡川直也自動車局長は25日行った記者会見で、原油価格高騰に伴う運輸事業者向けの追加対策の必要性について語った。政府が今週にも内容を発表する燃料油価格激変緩和措置の大幅な拡充策などに触れながら、「戦争やいろいろな思惑で動く市場はコントロールできない。状況を見ながら対応していくしかない」と述べた。原油価格高騰が昨年末から続いているため、「事業者の皆さまが(政府に)求めているのは即効性だと個人的には思う。今の時点で求められるソリューションが(今週に)決められるだろう」との見解も示した。
また、今月末までパブリックコメントを募集している自動車整備士技能検定規則などの一部を改正する省令案については、自動車技術の電子化や高度化に対応できる整備士を増やすとの狙いを説明するとともに、「試験に必要な実務経験の短縮などを行うことで人材の確保につなげていければ」と話した。検討を進めている養成課程の見直しについては、自動車技術の進展を踏まえて電子制御に関する内容などを新たに含める必要があるとした。
このほか、トヨタ自動車の系列販売会社で明らかになった不正車検を受けて、同社から四半期ごとに報告を受けている再発防止策とその実施状況などについては、「取り組みをきちんとやっていると聞いている。私どももできることは協力し、指導もしていきたい」とした。
整備事業は生産性の向上も求められるだけに、トヨタ系販社だけではなく他の整備事業者も含めて、「来年1月に予定している車検証の電子化やOBD(車載式故障診断装置)の機能を活用した車検時の確認方法の導入などで業務の効率化を図ってもらえるようにしていきたい」とも述べた。
さらに、ワクチンの3回目接種について、国交省としても関係省庁と連携しながら所轄業界の事業者に職域接種の積極的な活用を働きかけていることにも触れた。25日時点で、バス、トラック、タクシーで計48主体(事業者や業界団体含む)約29万人が申請を終えた。内訳は、バスが19主体12万人、タクシーが9主体4万人、トラックが20主体13万人。今後も引き続き「国交省からもできるサポートをしていきたい」と、3回目接種の推進を後押していく考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月28日号より