木村虎成さんは、入社2年目の新人メカニックだ。高校卒業後に入社し、働きながら社内の研修制度を利用して3級整備士の資格を取得した。現在は車検や点検を中心に業務を担当しており「新たな車種に触れ業務を行うことが楽しいです」と、積極的に知識の習得を進める。不慣れな作業は先輩から指導を受けることで、挑戦と成長の好循環を生み出している。
両親が車好きだったことから、幼少期はドライブに出かける機会も多く、自動車に親しみを感じるようになったという。機械に触れることが好きだったため、技術者育成に力を入れる学校に進んだ。その環境で、整備士の道を志す契機となったのは、授業でエンジンに触れたことだ。「原動機の分解と組み立ての実習を通じて、自動車に触れる楽しさを再発見しました」と語る。進路決定の際は、同級生から勧められた映画に登場したR34型「GT‐R」のデザインに感銘を受け、日産プリンス山形への入社を決めた。
メンテナンスの知識や技能を積極的に吸収する姿勢は、仕事以外でも発揮されている。約20年間、自宅のガレージで保管していたバイクを1年かけてレストアした。キャブレターの清掃と調整、燃料タンクの錆取りなどをDIYで行い、21年7月に車検を再取得した。「古いモデルは電装系からトラブルが発生することが多い。供給されていないパーツは、SNSなどを通じて調達しました。エンジンがかかった瞬間は大きな達成感がありました」と振り返る。
今後は、分解整備などにも挑戦したい考えで、2級整備士の受験資格が与えられる23年以降に向けて準備を進める。「補修が必要な場合に、しっかり提案できるエンジニアになりたいです」と将来を見据え、経験の蓄積と作業の正確性向上に取り組んでいく。