入社2年目でマツダ資格のエンジニアC級とアドバイザーC級を取得した。約80人が挑んだ試験で、ダブル合格者はわずか3人の狭き門。何ごとにも前向きに取り組む姿勢は周囲の誰もが認める逸材だ。
2016年に中国の大学を卒業して来日した。大学では心理学を専攻したが、自分にオフィス仕事は向かないと感じていた。せっかく日本に行くならば、好きなクルマにかかわる仕事に就きたいと考えていた。
2年間学んだ整備専門学校は楽しかった。なかでも実技の授業がとくに好きだった。ある日受けた実習でロータリーエンジンの構造を知り、「すごいエンジンを作るメーカーがあるんだ」と感心した。マツダに興味を持ったダライさんは、卒業後の勤務先に外国人メカニックの採用と育成に実績がある千葉マツダを選んだ。
入社後は周りの人たちが親身になって教えてくれた。マツダの資格試験はコロナ禍の休止を挟んで昨年再開された。だが日本語の試験は外国人にとって壁は厚い。ダライさんは休日に過去問題を独学するなどの努力を重ね、2つの資格試験を見事に同時クリアした。
高い向上心を発揮したダライさんだが、本人は「これからが次のスタートです」といたって冷静だ。「資格に恥じない仕事をするだけです。そのためには一日も早く先輩のレベルに追いつきたい。これが私の一番の目標です」。話す表情は温和だが、見据える目線にぶれはないようだ。