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自動車業界トピックス

整備士養成学校、資格制度の改正に1級取得のメリット明確化を期待

学生の意欲向上につながる変更を

国土交通省が一部改正を目指す整備士資格に対し、自動車大学校や整備専門学校から「1級整備士を取得するメリットを明確にしてほしい」との声が上がっている。整備士資格は「大型」「小型」など細かく区分されているが、これらを分かりやすく集約する方針。しかし、1級と2級は新制度でも担える業務に変わりがないなど、あいまいな状況が続く。一方、車両の電動化や自動運転化の加速で、より幅広い知識や故障診断のスキルを有する1級整備士の役割が今後重要になるのも事実。学生が1級取得に前向きとなれる制度となるか、業界内外から注目が集まっている。

 日刊自動車新聞が全国の自動車大学校や整備専門学校を対象に実施したアンケートでも、整備士資格の改正への期待と不安の声が多く寄せられた。現在の1級資格について、「取得するメリットがほとんどない」との厳しい指摘もあった。このため、各種資格の中でも「まずは1級資格の制度を見直してほしい」との意見も目立ち、1級の制度改正が必要との見方が大半を占めているのは事実のようだ。

しかし、2級との差別化が難しい事情もある。アンケートでも「1級資格取得者のみが自動車検査員になれる仕組みが望ましい」との要望が目立ったものの、改正案ではここまで踏み込んだ内容にはなっていない。実は国交省では当初、自動車検査員を1級資格取得者のみが担えるようにしようとしたが、業界から「自動車検査員が不足するのではないか」などの懸念の声が多く挙がり、今回の改正では見送った経緯がある。1級資格が設けられてから約20年での取得者は約2万人。一方、2級は約140万人に上っており、足元の整備業務を考慮すると大幅な制度変更が難しい実態も浮き彫りになった。

また、今回の改正では「ガソリン」「ジーゼル」「シャシ」といった細かな区分をなくす。これについて、学校関係者らは、車両電動化の加速で「エンジンの需要が小さくなると考えられる中、当然の方向だ」と前向きに受け止めている。このほか「クルマの変化に対応しており、資格制度としても分かりやすくなる」など、歓迎の声がほとんどだった。

国交省では改正案のパブリックコメント(意見公募)に寄せられた内容を踏まえ、見直し内容を検討している。近く、公布し、2027年1月の施行を予定している。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)4月26日号より