政府は、インターンシップ(就業体験)で取得した学生の情報や評価を企業などが広報活動と採用選考活動に活用できることを認める方針を決めた。2024年度以降に卒業・修了する大学生と大学院生などが対象となる。インターンに関する新たな定義と一定の要件を設けて、企業などには情報開示や職場の社員が学生を指導して取り組み姿勢や業務成果の評価をフィードバックすることなどを求めた。
経団連と国公私立大学の代表者で構成する「産学協議会」は4月に公表した報告書で、一定の基準に準拠するインターンで得た学生情報を採用選考活動の開始後に活用できるよう政府
に早急な見直しを要望していた。
これを受けて経済産業省、文部科学省、厚生労働省は13日、「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」(三省合意)を一部改正した。改正は15年12月以来約6年半ぶりで、3回目となる。
産学協議会は、学生のキャリア形成支援に関する産学協働の取り組みを▽タイプ1=オープン・カンパニー(会社・業界説明会など)▽タイプ2=キャリア教育▽タイプ3=汎用型能力・専門活用型インターン▽タイプ4(試行)=高度専門型インターン―の4つの類型に整理した。このうちタイプ3、4がインターンと称される。「ワンデー・インターン」など学生の参加期間が短かったり、就業体験を伴わないものはインターンとは異なると定義した。
新たな定義付けを行ったインターンでは、学生の参加期間を短期で5日間以上、長期で2週間以上とした。職場での就業体験については、参加期間の半分を超える日数を充てることが必要となる。実施時期は、大学3年以降の夏休みなど長期休暇で行うものとする。企業には募集要項などで必要な情報開示を行うともに、インターンで取得した学生情報を広報活動・採用選考活動で使用することを事前に明らかにすることも求めた。
こうした新たなインターンに関する一定の要件を準拠した企業などには、産学協議会が用意した認定マークをインターンの募集要項に記載できるよう検討している。
これまでの三省合意では、「採用選考活動開始前にインターンで取得した学生情報は広報活動・採用選考活動に使用してはならない」としてきた。今回の一部改正について、政府関係者は「インターンはキャリア形成支援の取り組みであって、採用活動ではない。学業との両立は重要で、学生の混乱がないよう今回の改正の周知徹底に努めたい」と述べた。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月15日号より