地域の役に 広く災害時協定
日産東京販売ホールディングス(NTH)は、東京エリアを中心に、日産とルノーのディーラー事業など8つの事業会社を展開する。販売ネットワークは新車が111店舗、中古車が19店舗で、国内の日産ディーラーとしては最大規模となる。2021年7月には東京日産、日産プリンス東京、日産プリンス西東京を合併した日産東京販売を設立。新たなチャレンジとシナジーの創出、持続的な成長を続けている。
同社は日産の販売会社としてEV(電気自動車)の累計販売台数が8千台を超える実績をもつ。これらの実績に基づく分析により、購入者の行動や生活パターン、カーライフとのつながりなどの把握も可能となり「他メー
カーとは異なりアドバンテージがあるはず」と石田寛之取締役は考えている。日産陣営では「アリア」のほか、三菱自動車と共同開発した軽自動車の新型EV「サクラ」を発売した。石田取締役は「東京都は補助金も充実しており、環境意識の高い方も比較的多い」とみて、新型車の投入はEV拡販の好機ととらえる。
また、同社が主導し、災害協定締結の自治体の拡充にも注力する。災害時にEVや可搬型給電器「パワー・ムーバー」を活用し、避難所などへの電力供給の体制を構築する取り組みだ。すでに練馬区、羽村市、狛江市、世田谷区、葛飾区、荒川区、あきる野市と協定を締結しており、今後も順次拡充していく。一方で、企業や公園、観光地などとの協力や連携も模索する。「社会性、社会貢献、地域貢献につながる取り組みによって地域の皆さまの役に立ちたい」との思いがあるからだ。
ダイバーシティの推進も加速させる。社員一人ひとりの個性や特性を生かし、多様性を重視した採用と育成に取り組む。例えば、外国籍スタッフの採用はこれまでも積極的に進めてきたが、今後は定着率の引き上げや管理職候補育成に向けた支援、母国への帰国時のサポート体制の構築なども計画する。石田取締役は「多様性を認め、モチベーションを持って仕事ができる環境づくりをしていきたい」と考えている。