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自動車業界トピックス

国交省のインフラ海外展開行動計画、対象に高度物流を追加

国土交通省は20日、官民一体で取り組む今後のインフラ海外展開の方向性と施策を示した「インフラシステム海外展開行動計画2022」を発表した。対象分野に、物流を新規追加してコールドチェーンなど高度物流サービスの普及促進を図るほか、AI(人工知能)オンデマンド交通システムなど交通ソフトインフラの海外事業展開も支援する。ポストコロナや脱炭素化などの情勢変化を見据えながら、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域を中心に、社会課題解決への貢献と日本企業の受注機会拡大や日本の経済成長につなげる。

経済成長が著しいASEAN地域などでは、コールドチェーンをはじめとする高度物流サービスの需要が高まっている。ただ、品質面よりもコストが重視される傾向にあり、日本の物流事業者が強みとする同サービスは荷主から選ばれにくい環境にあるのが現状だ。

そのため、国交省では海外市場で正当に評価され、競争優位性が発揮できるように官民連携の取り組みを推進する。具体的には、コールドチェーン物流サービス規格(JSA―S1004)の国際標準化の推進や、ASEAN重点5カ国に対する普及戦略を基にした国別アクションプランの策定だ。

同規格の国際的な通用性や認知度の向上を図る目的で、国際標準化機構(ISO)に設置された技術委員会で国際規格化に取り組む。また、相手国政府と連携してASEAN各国における小口保冷配送サービス規格(ISO23412)の普及促進にも取り組む。

日本の高度物流サービスのASEAN地域への展開に向けて、課題の特定と解決策を調査することを目的に、官民一体で実証輸送を実施する。明らかになった課題などは、2国間政策対話などを通じ、相手国政府に改善を求めていく。

交通ソフトインフラは昨年の行動計画で新分野に追加したもので、企業の海外展開を引き続き推進する。今年度は、MaaS(サービスとしてのモビリティ)、AIオンデマンド交通などの交通ソフトインフラ海外展開のための官民協議会を設置し、交通の枠にとらわれない幅広い企業間、官民の情報共有や意見交換などを通じて案件形成を促進する。

国内企業が進出する相手国によっては、新規分野の交通ソフトインフラの社会実装に当たって、さまざまな課題が生じることも想定される。そのため、企業の要望を踏まえ、事業環境の整備に関する政府間の政策対話、国交省が行う調査における政策協議、相手国政府への働きかけなどで課題解決に向けた支援を行う。

インドネシアでは、自動車認証試験場の整備事業が国の重要案件に位置付けられるなど、自動車利用が増加する中で、安全利用を支えるインフラへの支援要請も今後は増えることが予想されている。

政府は、2020年12月に「インフラシステム海外展開戦略2025」を策定。国内企業が25年に34兆円のインフラシステムの受注を目指すことを目標に設定し、毎年内容の見直しと追補を行っている。モビリティ・交通分野では約8兆円の受注を目指す。国交省の行動計画は、同戦略を具体化するために取りまとめたもの。斉藤鉄夫国交相をはじめトップセールスの本格的再開などで、受注獲得や新規案件の形成などに注力する。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月21日号より