第26回参議院選挙が22日公示される。7月10日の投開票日に向けて物価高対策や安全保障を主な争点に論戦が本格化する。ガソリンなど原油価格高騰対策では、自民党が1月から実施している激変緩和策の継続と抑制効果を強調する一方、野党は減税による価格引き下げを訴えるなど与野党の違いが際立っている。主要各政党の政権公約から自動車関連政策を見ると、自動車産業の脱炭素化を目指した電動車の普及促進や、コロナ禍の影響が深刻な地域公共交通への支援はほぼ共通している。そうした中、国民民主党は自動車税制の見直しと負担軽減を目指す政策を提案している。
今回の参院選は、125議席(改選124、非改選の欠員補充1)が争われる。自民党、公明党の与党は、参院全体248議席の過半数125議席維持を勝敗ラインに掲げている。非改選議席が69議席あるため、今回の参院選は56議席を獲得すれば達成だ。
各党が公約で掲げる経済政策の中で、有権者の関心が高い話題の一つに原油価格高騰対策が挙がる。自民党は、政府が1月から実施している激変緩和策を継続し、価格高騰の状況に応じてきめ細かな対応を行う。1兆円の地方創生臨時交付金で地方の実情に応じた対策の強化も図るという。
立憲民主党や国民民主党は、トリガー条項の凍結解除によるガソリン減税を訴える。灯油や重油、LPガスなどの対策は購入補助などを拡充して事業者の支援につなげる。日本維新の会もガソリン減税の立場だ。公明党は、トリガー条項凍結解除について自民、国民民主との3党協議の論点を踏まえながら、制度見直しも含めて実効性ある原油価格高騰対策を引き続き検討する。
与野党の中で、自動車税制に踏み込んだ政策提言を行ったのが国民民主党だ。自動車重量税廃止を前提に、まずは「当分の間税率」を廃止、自動車重量税の国分の本則税率の地方税化を進める。環境性能割については旧自動車取得税の付け替えであることから廃止するなど、自動車の保有負担軽減を前面に打ち出した。
世界的な潮流にある自動車の電動化については、各党で電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)など電動車の開発・販売促進を後押しする公約を掲げている。また、合成燃料や水素など脱炭素燃料を活用した内燃機関車の開発も重要とし、日本の自動車産業の競争力強化に取り組む姿勢は与野党で一致する。
原油価格高騰やコロナ禍の影響で経営環境が厳しい公共交通事業者への支援と需要喚起も各党が公約に掲げる。公明党は運送事業者に対する手厚い支援策の提案に加えて、人手不足に悩む自動車整備事業者の支援の必要性も訴える。自民党は、交通事業者と地域との「官民共創」による地域公共交通網の再構築を目指し、国が主体的に協議の場を設けていくとの考えを示している。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)6月22日号より