自動車のサブスクリプション(定額利用)サービスなどの賃貸表示のルールが変わった。自動車公正取引協議会(自動車公取協、倉石誠司会長)は30日、改正自動車公正競争規約・規則を施行。今後、新聞やインターネットなどでサブスク商品を案内する際、料金の支払期間や支払総額などを明記することが求められる。購入したケースとの違いをユーザーに分かりやすく伝えることで消費者保護につなげるほか、サブスク市場の健全な発展にも貢献していく狙いだ。
改正した同規約・規則は5月に消費者庁と公正取引委員会から認定、承認を受けた。今回のポイントはサブスク事業者などに、頭金の金額(ない場合は不要)や料金の支払期間、最低契約期間の支払総額、設定残存価格などを明記するよう求めた。さらに、税金や登録費用、自賠責保険、任意保険などの諸費用も盛り込むよう要請した。中途解約ができない場合や車両返却時の状態によっては、別途追加費用が発生するなどのケースも明らかにする。車両購入と混同するような表示をした会員事業者に対しては、改善指導などを通じて同規約・規則の周知徹底を図る方針だ。
自動車公取協では昨年6月に「サブスク等の自動車の賃貸料金を表示する際の考え方」を策定した。この中に、今回の改正内容のほか、新聞、チラシ、インターネット、テレビCM、店頭などでの具体的な表示例を盛り込んだ。今年1月には会員事業者向けにオンライン研修を開き、サブスクと購入の違いについて説明するなど周知活動に力を入れてきた。今後も新車、中古車販売の参画団体を通じて、それぞれの会員各社に同規約・規則の浸透を図る。
国内市場ではリース契約の一種であるサブスクへの注目が年々高まっている。月額料金に整備費用や自動車保険などのランニングコストを含めて一体化することで、車両購入のハードルを下げる効果を期待しているためだ。市場規模は引き続き拡大していくとみられ、自動車公取協はこれからも事業者が消費者に誤解を与えない適切な情報提供が行える環境づくりに取り組む。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月1日号より