デジタル庁は、モビリティにおけるデジタル基盤の活用を目指す「デジタル交通社会推進戦略(仮称)」を今夏にも取りまとめる。利用者のニーズを反映したMaaS(サービスとしてのモビリティ)の導入に向け、携帯電話のビッグデータを需要の把握に用いることなどを検討するほか、導入の成果を測る指標として「ウェルビーイング(幸福な状態)」指標導入の可能性も探っていく。デジタルを用いてモビリティ社会の最適化を目指す。
内閣府が毎年まとめてきた「官民ITS構想・ロードマップ」を、デジタル庁がデジタル交通社会推進戦略として今夏に新たに取りまとめる。新戦略では「需要サイドから本当に求められるモビリティ、MaaSの導入を目指す」(担当者)とし、技術面から産業を見る経済産業省、制度面を担う国土交通省とは異なる視点でMaaSなどの普及に取り組む。
需要者目線のMaaSの導入に向けては、国内外の成功事例を参考にする。例えば、携帯電話のビッグデータを用いて利用者目線のニーズをサービスに取り入れるほか、高齢者や子育て世代などMaaSのコアユーザーの試乗機会を設け、事業内容に反映させていくことも検討する。
また、MaaS事業の評価指標として、人の幸福度を指数化するウェルビーイング指標を用いることも検討する。同指標は、岸田文雄首相が推進する「デジタル田園都市国家構想」で推進交付金の支給が決まった事業でも採用されており、統一された評価基準として採用を見据える。将来的には政府として、需給をリアルタイムで把握できるデジタル基盤の確立なども視野に入れる。すでに骨子を固めており、今後内容を精査した上で新たな戦略として取りまとめる考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月11日号より