新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、石塚博昭理事長)は、グリーンイノベーション(GI)基金事業における省エネルギー車載コンピューティングシステムの研究開発を実施する採択企業を公表した。ソニーグループやティアフォーなどが、「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)以上の自動運転システムにおいて現行の技術に比べて7割以上の省エネ化を図る。車両の自動化が本格的に進む2030年以降を見据え、技術競争力の確保とグリーン化の両立を目指す。
GI基金事業のうち、「電動車等省エネ化のための車載コンピューティング・シミュレーション技術の開発」事業に着手する。レベル4の自動運転機能を担保することを条件とし、消費電力に影響するセンサーシステムなどを現行から7割以上省エネ化する。総予算は420億円で、実施期間は28~30年度まで。
同事業に採択された半導体などを手がけるソニーセミコンダクタソリューションズは、交通環境に応じた省電力車載認識システムを開発する。カメラやレーダーの高度化に取り組むほか、撮影した画像データを使った認識性能の向上と省エネ化の両立を図る。
ティアフォーでは、認識機能やセンサーフュージョン、故障検出機能などを一体化したオープン型の自動運転ソフトウエアプラットフォームを開発する。広域の運行設計領域に適応可能なアルゴリズムとし、乗用車や商用車、小型モビリティなど多様な車両に反映できるようにする。
このほか、日本自動車研究所が自動運転車の開発につながるデジタルツインを使った高精度シミュレーション技術の開発と検証などに取り組む。
また、NEDOはGI基金事業「スマートモビリティ社会の構築」の採択企業も合わせて公表した。同事業では、ヤマト運輸や第一交通産業などが自社で使う車両の電気自動車(EV)化を進めるほか、みちのりホールディングスなどは路線バスのEV化で地域交通のカーボンニュートラル化を目指す。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月23日号より