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自動車業界トピックス

国交省、2023年4月からの自賠責賦課金増額

車検機会を活用して理解促進

国土交通省は、自動車損害賠償責任保険(自賠責)の保険料の一部として徴収する賦課金を来年4月から増額するに当たり、自動車ユーザーに対する理解増進活動の一環として車検の機会を活用する。広報の強化として今秋から専用ポータルサイトの開設やSNSなどデジタル領域でのPR活動も始めるが、多くの自動車ユーザーに直接行きわたる広報手段も必要と判断した。自賠責制度と賦課金増額の目的や使途などについて理解を深めてもらい、自動車事故被害者支援と事故防止対策の一層の充実につなげたい考えだ。

堀内丈太郎自動車局長は定例記者会見で、来年4月から自賠責保険料の一部として徴収している賦課金の増額と使途拡大を図るに当たって「自動車ユーザーの理解と納得を得るための取り組みを進めることが非常に重要だ」と指摘。その上で「車検の更新時などに自動車ユーザーと直接関わる機会を意識して事故被害者の現状、国交省の事故被害者支援や事故防止対策を分かりやすく伝える」と述べた。

具体的な手段については今後詰めていくが、自賠責制度や今回の改正点などを説明したチラシなどのツールを自動車ユーザーに直接手に取ってもらえる仕組みを目指す考え。その際は、自動車整備事業者や自動車保険会社などの協力を得ながらより効果的な方法を検討するものと予想される。

6月に衆議院本会議で可決・成立した改正自動車損害賠償保障法などでは、被害者支援と事故防止の持続的な財源を確保するため、賦課金の額の拡充と使途拡大を図ることを決めた。また、保障勘定と自動車事故対策勘定を1つの勘定に統合し、業務の合理化を図ることも盛り込んだ。

また、衆参両院の付帯決議では、「新たな賦課金の導入に当たっては、被害者等支援や事故防止対策の現状および課題について積極的に情報発信し、自動車ユーザーの理解を得られるよう、また、負担抑制に努めること」と記載された。加えて、自動車ユーザーに新たな負担を求めることとする以上、「効果検証を適切に行うとともに、毎年実施すること」も求めている。

現行の自家用普通乗用車1台当たりの自賠責保険料は2年間で1万10円。このうち賦課金は約32円で、保障勘定からひき逃げ被害者などの救済対策に活用されている。来年4月からの新制度では、この賦課金について年100~150円程度の上乗せを検討する。具体的な増額分は、事故被害者や自動車ユーザー団体などで構成される検討会で年内にかけて議論している。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月2日号より