国土交通省は、デジタル社会における都市交通調査の方向性についての中間取りまとめを行った。移動の多様化や都市ごとの特徴を踏まえた調査データのオープン化を進めるほか、在宅やオンラインといったコロナ禍による活動の変化に着目した新しい調査手法も確立する。MaaS(サービスとしてのモビリティ)や車両の自動化、電動化などモビリティの変化を踏まえた新しい都市交通の形成を目指す。
都市部における道路の計画的な整備や交通需要マネジメント(TDM)、モビリティ・マネジメントといったソフト施策提案などにつなげる交通施設などの必要性や規模を総合的に検討するための「都市交通調査」のあり方を見直す。
従来はモビリティを利用した移動時と目的地での活動を切り離して調査していたが、コロナ禍による在宅勤務や移動中のオンラインでの買い物行動などが増加していることを踏まえ、移動時と活動時を一体化した調査手法を新たに構築する。加えてシェアリングやコミュニティーカー、電動キックボードといった小型モビリティなどの限られた域内を移動する新しいモビリティの活用も前提に都市部における移動の実態を調査できるようにする。
人の移動に主眼を置いたパーソントリップ調査手法のオープン化も進める。交通手段や移動場所、年齢などの個人情報といった「必須項目」と、乗り換え地点や所要時間などの「任意項目」をそれぞれ定め、取得するデータの共通化を図るほか、人流などのビッグデータと連携できるようにすることでデータの相互性を高める。
これらの新たな調査手法を盛り込んだ「都市交通調査ガイダンス(仮称)」を作成する。今回まとめた中間取りまとめを踏まえ、今後有識者を交えた検討会で議論し、詳細を決める。
新たな調査手法を構築することで、公共交通機関が中心の従来型の都市交通から、人の活動に主眼を置いた新しい都市交通への転換を目指す。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月10日号より