経済産業省は、ティア2(二次部品メーカー)以下のサプライヤーの電動化に向けた業態転換支援を始める。エンジン部品や燃料タンクなど電気自動車(EV)では必要がなくなる部品を開発、製造している中小企業を対象に、各地の支援拠点を通じて電動化で必要な技術や設備投資などについての相談に応じる。必要な場合は補助金支援も講じる。電動化で地場の中小部品メーカーにとっては生き残り競争が厳しくなっており、行政支援を充実させることで個社ごとの最適解を提案する。
自動車産業が集中している地域を中心に全国10地域に専門の支援拠点を設置した。政府目標である「2035年に乗用車新車販売で電動車100%」の実現に向け、地場サプライヤーの電動化への業態転換を支援する。
支援の対象とするのは資本金10億円未満の中堅・中小サプライヤー。電動化で需要の縮小が見込まれるエンジン部品や変速機、マフラーなどの内燃機関向け部品を手がける企業が中心になるとみられる。また、例えば車体部品などでも軽量化や熱マネジメントなど電動化に応じた技術開発を進める企業も支援対象にする。
支援拠点では、企業との対話を通じて個社ごとの課題や事業継続性を洗い出し、それに応じた戦略の策定を支援する。具体的な投資規模や技術開発の方向性などを専門家を通じてレクチャーする。同支援事業には22年度予算の4億1千万円を充てる。
また、業態転換に向け具体的なアクションを取る企業に対しては「事業再構築補助金」を通じて、設備投資や研究開発費用を補助する。
EV化で1台当たりの部品搭載数が大幅に減ることに加え、1社当たりがカバーする業務領域が広がることが予想される。ティア2以下の部品メーカーは、これまでは出された図案に応じて開発、製造を行うケースが多かったが、今後は「自社でできる技術を積極的に上(ティア1以上)に提案しなければ生き残れない」(経産省担当者)。その一方で、ティア2以下からは「『具体的にどうしたら良いのか分からない』という相談が多く寄せられている」(同)状況にあるという。経産省としてこれらの企業の受け皿を用意し、事業転換を支援していく考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月15日号より