日本自動車整備振興会連合会(日整連)の竹林武一会長は1日開いた記者懇談会で、ビッグモーター(和泉伸二社長、東京都港区)に対する懸念を示した。同社をめぐっては、自動車保険金の不正請求などさまざまな問題が明らかになっている。竹林会長は「クルマ社会の安全・安心を支え、ユーザーに誠意を持って接してきた整備業の信用を失墜することになりかねない、極めて由々しき問題と認識している」とした。その上で、「日整連としては引き続き、(会員への)事業場の適正な運営や法令順守を指導していく」と述べた。
今後の整備業界の方向性について、木場宣行専務理事は、「ビッグモーターの調査報告書を読む限り、日整連が行うこれまでの業界指導に取り組んでいれば、防げた内容ではないかと認識している」との見解を述べた。さらに、「国土交通省の調査で『従来通りでは不十分』という結論に至れば、さらに踏み込んだ業界指導に取り組む必要性が出てくると考えている」と話した。国交省は7月28日に、ビッグモーターの全国34事業場で立入検査を実施している。
また、記者懇談会で竹林会長は自動車技術の高度化に触れ、「衝突被害軽減ブレーキなどの先進運転支援システム(ADAS)の機能を維持していくため、点検整備や予防整備の重要性が増してくる」と、整備業の存在意義を改めて説明した。
こうしたクルマ社会を支える整備業の人材については、「子どもの時からクルマに興味を持ち、面白いものだと認識してもらえるような取り組みを進めていきたい」とした。また、整備要員の高齢化に対して「業務の効率化や省力化機器の導入などで生産性向上につなげていきたい」と述べた。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月3日号より