宮城県と福島県で最大震度6強の揺れを観測した16日夜の地震で17日に稼働の一時停止を迫られた自動車メーカーやサプライヤーが稼働を再開し始めた。トヨタ自動車の子会社であるトヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)は17日の2直から稼働を再開。関連するトヨタ系サプライヤーのほか、部品メーカー各社が徐々に稼働を始めた。一方、依然として復旧対応に追われているサプライヤーも少なくなく、スバルは取引先の被災による部品在庫のひっ迫で18日、21日の群馬製作所の操業停止を迫られた。今後、サプライチェーン全体に与える影響は読めない状況が続きそうだ。
TMEJが17日夜に稼働を再開したことで関連サプライヤーも稼働を再開。アイシンは、稼働を止めていた東北シロキ(宮城県大衡村)とアイシン高丘東北(宮城県大衡村)での生産を17日夜勤から開始。トヨタ系のほか、住友ゴム工業も安全確認などで停止していた白河工場(福島県白河市)の生産を17日午後5時以降に再開した。
一方、18日正午時点では稼働再開に至っていないサプライヤーもある。日立アステモは被害程度の確認、設備点検のために稼働停止の状態が続いており、生産再開の見通しは立っていないという。ルネサスエレクトロニクスは、那珂工場(茨城県ひたちなか市)、高崎工場(群馬県高崎市)での操業停止が地震直後から続いている。トーヨータイヤの仙台工場(宮城県岩沼市)は18日、損傷箇所の補修を進めており、稼働再開には早くても数日を要する見通しだ。アルプスアルパインは断水、設備の破損で古川第2工場(宮城県大崎市)、涌谷工場(宮城県涌谷町)、角田工場(宮城県角田市)の3工場の生産を停止している。
部品工場の復旧に時間がかかれば完成車の生産にも影響する。スバルは18日、群馬製作所の操業を停止したことを明らかにした。TMEJの稼働を17日夜から再開しているトヨタだが、仕入先を含めた被害状況の確認を進めており、18日正午時点では18日夜の稼働は未定の状態だ。地震の被害次第で半導体不足やコロナ禍による需給のひっ迫に拍車がかかる可能性もある。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)3月19日号より