岸田文雄首相は、参院本会議で行われた施政方針演説に対する各党代表質問で、自動車重量税にかかる「当分の間税率」の撤廃について「慎重であるべきだ」との考えを改めて示した。国、地方の財政状況や環境負荷に応じた税率を設定していることなどを理由として挙げた。自動車関係諸税のあり方を検討する上では「財源の安定確保が前提」と財政当局の主張を繰り返した。
代表質問に立った国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、暫定と言われながら50年間続く自動車重量税の「当分の間税率」は「速やかに撤廃されるべき税」と指摘。さらに「日本の自動車関係諸税は世界に類を見ない複雑かつ過重な税制だ」とし「集めた税金を使う側ではなくて、働いて税金を払う側に立って自動車税制を見直すべき」だと岸田首相に迫った。しかし岸田首相は、今後の自動車関係諸税のあり方について「与党税制改正大綱で、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)目標の実現への貢献、インフラの維持管理、機能強化の必要性などを踏まえつつ、国、地方を通じた財源の安定的な確保を前提に、中長期的な視点に立って検討を行うとされている」「今後の与党での議論を踏まえ、政府としても検討を進めていく」と従来どおりの答弁を繰り返した。
日本自動車会議所(内山田竹志会長)も、2024年度の税制改正要望で「自動車重量税の将来的な廃止を目指し、まずは当分の間税率の廃止」を盛り込んでいる。
内山田会長は、昨年12月に行われた自民党の自動車議員連盟に対する要望で「今後、モビリティの広がりとともに新たな経済的・社会的受益者も広がっていく。自動車の枠にとらわれず、受益と負担の関係を再度、整理して税体系の抜本的見直しを行い、自動車ユーザーの税負担軽減につなげる必要がある」と主張していた。
過去の税制改正大綱で、自動車関係諸税の見直し時期について「次のエコカー減税の期限到来時までに検討を進める」とされた。自民党自動車議連の幹部は「この1、2年が勝負になる」との見方を示している。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月6日号より