日本自動車会議所(内山田竹志会長)は、2024年度の税制改正に関する要望書案をまとめた。脱炭素社会の実現に向けた自動車関係諸税の抜本的な見直しを求めるほか、電動化などに伴う燃料税収の減少を単に埋め合わせるだけの新税導入に反対することなどを盛り込んだ。10月中旬までに正式決定し、政府・与党への要望活動に入る。
9月28日に日本自動車会館(東京都港区)で開いた「税制委員会」で、24年度の税制改正に関する要望書の事務局案を審議した。事務局案の作成に当たっては、9月12日の税制部会で各団体から提出された要望や意見などを踏まえた。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やMaaS(サービスとしてのモビリティ)などの動向が自動車産業の構造変革を促す中で、半世紀以上にわたって続く自動車の税制度を抜本的に見直す好機と捉える。
従来からの重点要望である自動車関係諸税の「負担軽減・簡素化」の実現を前提に、自動車の枠を超えた「モビリティ」の視点で、新たな受益と負担の関係や、税体系のあり方などの議論を求める。
官民による電動車シフトを前向きに捉える一方で、燃料税収などの先細りを埋めるため、財政当局が水面下で検討する「走行距離課税」や電動車に課す「出力課税」といった新税の創設には反対の姿勢を明確に打ち出す。
燃料高が長引くなか、揮発油税(ガソリン税)などにかかる「当分の間税率」の廃止や、「タックス・オン・タックス(二重課税)」の解消も強く求める。
要望案を正式にまとめた後、経済産業省、国土交通省、環境省、総務省の関係4省に提出・説明するほか、自公の自動車議員連盟などにも要望案を説明して理解を求めていく。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月2日号より