自動車関係団体は1日、2024年度の税制改正項目を自民党の自動車議員連盟に要望した。自動車産業が「モビリティ産業」に転換し、脱炭素社会を実現したり、国際競争力を強化する上でも「自動車関係諸税の抜本的見直しが急務である」と団体側は主張した。新体制の自動車議連も「新たなモビリティ社会にふさわしい自動車税制の議論を深めていくことが重要」(茂木敏允幹事長)としており、議連として政府・与党にどれだけ働きかけを強められるかが注目される。
自動車議連は1日、衆議院第一議員会館(東京都千代田区)で総会・政策懇談会を開いた。自動車関係15団体を代表し、日本自動車会議所の内山田竹志会長は「大変革期の中、依然として過重で複雑な自動車関係諸税は、今が抜本的に見直す大きなチャンス、あるいはターニングポイントと捉えている」との認識を示し「今後、モビリティの広がりとともに新たな経済的・社会的受益者も広がっていく。自動車の枠にとらわれず、受益と負担の関係を再度、整理して税体系の抜本的見直しを行い、自動車ユーザーの税負担軽減につなげる必要がある」と強調した。
内山田会長はまた、今後の自動車関係諸税が「50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」の実現や、自動車保有の電動化といった方向性に沿うよう「来年から想定される本格的な議論に向けて今年は、その礎となる議論を進めていくことが重要だ」とした。
日本自動車工業会は、経団連モビリティ委員会との活動報告に加え、官民で優先的に取り組むべき7つの課題を示した。自動車関係諸税の抜本的見直しの方向性として、自動車ユーザーの負担軽減、税体系の簡素化などを訴えた。また、国内経済の成長と産業競争力の強化に向け、国内投資を後押しする企業支援制度・税制措置の創設も求めた。
日本自動車販売協会連合会は、22年の新車(登録車)販売台数がピーク時から約6割も落ち込んでいる資料を示しつつ「消費税を含む車体課税の税収が右肩上がりの状況は理解しがたい」(金子直幹会長)と抜本的な車体課税の軽減・簡素化の必要性を訴えた。また、電気自動車(EV)などに対する「走行距離課税」や「出力課税」といった増税議論が先行することにも反対する姿勢を鮮明にした。
全国軽自動車協会連合会は、軽自動車と二輪車のユーザーに対するさらなる税負担増への反対を最重要要望として掲げた。日本自動車輸入組合は、EVなど電動車の普及を加速するための税制改正を要望。充電インフラ整備に対する支援として、高出力化への規制緩和なども求めた。
政府は、23年度税制改正大綱で、自動車関係諸税の見直しについて、自動車産業を取り巻く環境変化など踏まえながら「次のエコカー減税の期限到来時までに検討を進める」と明記した。新体制の議連幹部からも「この1、2年が勝負になる」(茂木幹事長)との見方が示された。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月2日号より