日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)の2024年度税制改正要望案が13日までにわかった。政府が進める50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)を念頭に置いた自動車関係諸税の見直しを新たに盛り込む。政府・与党内では、電気自動車(EV)などの普及に伴う燃料税収減を補う増税や新税案が浮上している。約2千万人の会員を抱えるユーザー団体として、安易な「穴埋め増税」をけん制し、中長期的視点から自動車関係諸税の抜本的見直しの議論を喚起していきたい考えだ。
JAFは、EVなどの普及を背景とした燃料税収減などを理由に「走行距離課税」や駆動モーターの性能に応じた「出力課税」の導入は、財源確保前提の増税や新税創設となることから受け入れないとの姿勢を示す。その上で、これらの議論を呼び水として、「中長期的な自動車関係諸税の抜本的見直しを今こそ行うべき」と主張する。
「過重で不合理な自動車税制の簡素化と自動車ユーザーの負担軽減の実現」は例年どおり、継続して要望する。「環境性能割」は「自動車取得税の単なる付け替えだ」として廃止を主張する。「自動車重量税」も「道路特定財源の一般財源化で課税根拠を喪失している」して廃止を求め、少なくとも「当分の間税率」は即刻廃止すべきとする。ガソリン税(揮発油税)についても「当分の間税率」の廃止と「タックス・オン・タックス」の早期解消を求める。
JAFの税制改正に向けた要望書は例年、自動車ユーザーを対象とした「自動車税制に関するアンケート調査」の結果をもとに作成されている。今年は5月29日から8月20日までインターネット調査を行い、回答者数は過去最高の18万9285人を数えた。アンケートで走行距離課税やモーターの出力に応じた課税などの議論が行われていることについて質問したところ、半数が「知らなかった」と回答した。こうしたことから、JAFは改めて現在行われている自動車税制の議論などをわかりやすく説明する必要があるとし、年末にかけて広報活動で積極的に情報発信していきたい考えだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)9月14日号より