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自動車業界トピックス

〈本紙アンケート〉整備学校、頭悩ます次世代車教育 カリキュラム再編や設備投資負担が課題

何をなくし、何を追加するかを検討

日刊自動車新聞が全国の自動車大学校や自動車整備専門学校を対象にしたアンケートで、次世代自動車に対応した教育のあり方に教職員らが頭を悩ませていることが分かった。基礎は外せないため、「新技術は内容が広く浅くなりがち」(関東の学校)など中途半端なのが実情。次世代車の普及が加速する中、「自動運転をカリキュラムに取り入れる時期が課題だ」(関西の学校)や「カリキュラム再編で何をなくし、何を追加するかを検討している」(甲信越の学校)と暗中模索の状態が続いている。

何をなくし、何を追加するかを検討

先進運転支援システムの普及や特定整備制度の施行で、整備業界は変革の真っただ中にある。各校もエーミング(機能調整)作業に使用する外部故障診断機などの機器購入や、新たに加わった電子制御装置整備の認証を取得するなど教育環境を整える。ただ、新たなセンシング技術を搭載した車両が続々と発売される中で、「教育機関で車両をすべて購入、確保するのは困難になる」(南関東の学校)と設備投資の負担が増すことを懸念する声もある。

さらに、技術が高度になることで、「自動車メーカーから技術教育に対してより一層の協力がないと、教員の知識が教育をできるレベルに到達しない」(首都圏の学校)との不安も漏れる。別の首都圏の学校も「教科書と時代のズレをどのように学生に伝えるのか」と気を揉む。急速に普及する新技術に関する「情報と教材の入手」(北陸の学校)ができなければ、教育機関による対応にも限界が出てくる。

こうした状況に教員不足も重くのしかかる。「夜間の教員が足りず、昼間を担当する教員で穴埋めする」(東日本の学校)など教員が足りない状況では新技術の講習を受講することもままならなくなる。

自動運転だけではなく、ポストコロナに備えたオンライン対応や、2035年までに新車販売を電動車のみにする政府方針で電気自動車(EV)の普及も差し迫っており、整備専門学校・大学校には難しいかじ取りが必要になりそうだ。

そのほかにも、深刻化する人手不足を背景に「無資格者を整備士として採用し、分解整備を行わせている事業者がある」(西日本の学校)と法令違反を指摘する声もあった。

本アンケートは入学者数や外国人留学生、コロナ禍の学校運営などに関する質問を行い、全国58校から回答を得た。詳細は、27日付けの「春季自動車整備士教育特集」に掲載する。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月21日号より