日本自動車連盟(JAF、坂口正芳会長)は、2023年度の税制要望をまとめた。現行の自動車税制における「ユーザーの負担感はもはや限界」と指摘し、税金に関する自動車ユーザーの声や意見を収集する活動も3年ぶりに再開した。2千万人超の会員を抱える自動車ユーザー団体として、自動車税制の簡素化と負担軽減の実現を強く求める。
今年からは、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現に向け、中長期的な視点に立った自動車税制のあり方の議論が本格化することから、JAFでは今後の改正議論を自動車ユーザーが納得できる自動車税制となるよう求める絶好の機会と捉える。
具体的には、現在保有している車両も対象に自動車税の恒久引き下げを求めるほか、環境性能割の廃止、自動車重量税の廃止、「当分の間税率」の廃止、「タックス・オン・タックス」の解消などを掲げた。また、すでに過重で不合理な税負担を強いられている自動車ユーザーに、さらなる負担を求めることにも反対する方針を強く打ち出した。
7月に行った自動車税制に関するアンケート調査には、昨年より約2万人多い約13万人が回答した。昨年末からの燃料価格高騰などで負担感がさらに大きくなっていることから「自動車関係諸税に対する関心が高まっている」(JAFマーケティング本部広報課)という。自動車に関する税金を「負担」と感じる自動車ユーザーの比率は前年比0.5㌽増の98.5%、負担軽減を求める比率は同1.1㌽増の94.1%とさらに高まった。
JAFでは現在、全国で実施しているイベントなどで自動車税制に関する自動車ユーザーの声や要望を集めている。17年度から始めた活動で、コロナ禍で休止していたため3年ぶりの再開だ。
ユーザーからの要望は、国会議員をはじめ政府、関係省庁、自治体にも伝える。インターネットを通じた情報発信も行うほか、12月以降に自動車関連団体などが入居する日本自動車会館(東京都港区)の1階に自動車ユーザーと用紙に手書きした意見や要望を撮影した写真を貼り出す予定だ。
政府、与党は、10月下旬からそれぞれの税制調査会で、自動車税制の議論を開始している。今年以降、電気自動車(EV)の普及やカーボンニュートラルを見据えた自動車税制の中長期的な見直しも議論される見通し。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月1日号より