経済産業省、国土交通省、環境省は、能登半島地震で発生した被災車両の適切な処理につながる情報提供を石川県など各被災自治体に行っている。3省連名で被災車両の処理に関する取りまとめを、被災した自治体の廃棄物主管部に通知。各自治体は今後、被災車両を仮置き場に保管し、所有者の照会や一定期間経過後に処分することなどに役立てる。東日本大震災など過去の事例を踏まえた取りまとめを参考に、被災車両の適切な保管・処分などにつなげ、早期の復興を後押しする。
被災自治体への通知は、3日付で実施した。大規模災害で被害を受けて外形上から自走不可能と判断される被災車両について、自治体が担う業務は大きく4点ある。「保管」「所有者を探す努力」「使用済み自動車を引取業者に引き渡し」「引き渡した自動車に関する情報提供」だ。
被災車両の処分には、原則として所有者などの意思確認が必要となる。そのため、所有者などによる保管が可能な場合を除き、ひとまずは自治体が回収して仮置き場に保管することとなる。被災車両の移動・保管の際には、所有者などの意思確認は不要となる。
被災車両の保管については、廃棄物処理法に基づく保管基準を参考とする。後日、所有者などから問い合わせがあった場合に備え、被災車両の移動を行う前に車両の状態を写真に残すなどしてリスト化しておくことが望ましいとしている。
自治体は、保管している被災車両の車両ナンバーをリスト化し、可能な範囲で運輸支局などに照会して所有者などを探すこととなる。被災車両の処分を自治体に委ねるか、自ら引き取るかについても所有者などの意思を確認する。
自動車リサイクル法に基づくと、所有者が被災車両を引き取り業者に引き渡すことが原則。しかし、迅速な処理のため、被災車両を補完した自治体が所有者などから処分を委ねられた場合には、使用済み自動車として引き取り業者に引き渡す事務を代行することができる。ただ、自動車重量税や自動車損害賠償責任(自賠責)保険料の還付が生じる場合があるため、各種必要書類は原則として所有者に記入してもらうことになるという。
損壊が著しく車両ナンバーや車台番号が判明しない被災車両で、所有者などの照会が不可能な場合は、自治体が使用済み自動車として被災車両を引き取り業者に引き渡すとしている。
事後の抹消登録手続きなどのため、自治体は引き取り業者に引き渡した使用済み自動車に関する情報(車両ナンバーや車台番号)を、車種ごとに運輸支局や軽自動車検査協会の事務所に報告する必要もある。
能登半島地震による被災車両の台数など、全容は現時点で不明だ。被災車両の本格的な回収・運搬などは道路などの復旧に伴い可能で、今後は被災車両を運搬するレッカー車の手配なども求められるとみられる。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月11日号より