令和6年能登半島地震の発災後、自動車メーカーは仕入れ先や販売会社の被災状況の確認を急いでいる。三菱ふそうトラック・バス系と日野自動車・いすゞ自動車系のバス生産拠点をはじめ、5日正午時点では多くの自動車メーカーが8日から稼働を再開する予定だが、「ティア2以降の状況はまだ確認しきれていない」(日産自動車)「被災地の仕入れ先は生活環境が安定していないのが現状で、被害確認ができない企業も多い」(ホンダ)と、予断を許さない状況がなお続く。一方、系列の販売会社では、震源地に近い拠点の多くで営業開始のめどが立たない状況だ。
北陸地方に完成車工場があるのは三菱ふそうバス製造(富山市婦中町)、ジェイ・バス(石川県小松市)の2社だが、北陸には電子部品系や内装部材系などの部品メーカーもあり、各社は仕入れ先の被災状況確認に追われている。被災地域に約230拠点(事務所含む)の仕入れ先があるマツダは、5日正午時点で「200拠点の状況確認が取れていない」としており、今後の影響拡大を懸念する。他の自動車メーカーも「仕入れ先の工場で液状化の被害が出ており、予定通りに稼働ができるかは分からない」(三菱自動車)と話している。
販売会社への影響も大きく、4~5日を予定していた営業開始を見送った店舗も少なくない。ホンダでは「5日朝時点で能登半島にある5店舗が営業開始できない状況にある」とし、日産も「人的被害はないが、10店舗以上で被災を確認した」という。マツダや三菱ふそうは、七尾市の拠点が営業を始められない状況だ。
発災から5日目を迎えたが、連絡が取れない安否不明者が240人以上にのぼるほか、家屋倒壊による生き埋め情報も多数、寄せられており、被害の全容はつかめていない。政府は救助活動などを急ぐ一方、「プッシュ型支援」のため、2023年度予算の予備費を使い、支援パッケージを近くまとめる方針だ。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月6日号より