「ジャパンモビリティショー2023」(JMS2023)の開幕が26日に迫った。自動車関連企業に加え、さまざまな業種の企業や100社ものスタートアップが集まり、出展者数は過去最高の475社を集めた。ショーのテーマは「乗りたい未来を、探しに行こう!」。モビリティを軸に新しく生まれ変わったショーとして、未来のモビリティ社会をオールジャパンで世界に発信する。
今回のショーでは、自動車の枠を超えた多くの企業が集まる。東日本旅客鉄道(JR東日本)や野村證券、三菱UFJ銀行、グーグル、UCCホールディングス、JTBなどだ。こうした企業とともに実施する「東京フューチャーツアー」では、大型モニターに囲われた没入感のある空間で未来の東京の街をのぞくことができたり「ライフ」「エマージェンシー」「プレイ」「フード」の4つの切り口でモビリティが変える未来を体験できたりする。
将来のモビリティ産業を担うスタートアップを育てる「スタートアップフューチャーファクトリー」では、コンテストを開いたり、「災害」「少子高齢化」「地域創生」「環境」「ウェルビーイング」などのテーマに応じ、大手とスタートアップをつなぐマッチングイベントも実施する。
〝モビリティ版ダボス会議〟と位置付ける「ジャパンフューチャーセッション」では、サステイナビリティー(持続性)や人工知能(AI)、アウトドア、モータースポーツ、おもちゃなど幅広いテーマで有識者が意見を交わす。
また、音楽アーティストやお笑い芸人によるライブもパワーアップする。収容人数1万人規模の会場で開く「H2エナジーフェスティバル」は水素エネルギーを使って実施するJMSならではの新たなショーだ。
四輪・二輪車各社もさまざまなコンセプトカーや市販予定車を披露する。「パーソナルモビリティライド」では次世代モビリティを用意し、モビリティに実際に乗る楽しさを体感してもらう。
「東京モーターショー」は、1954年に日比谷公園(東京都千代田区)内で開かれた「全日本自動車ショウ」としてスタートを切った。高度経済成長も追い風に第9回(61年)には来場者数が100万人を突破した。フランクフルト(独)、ジュネーブ(スイス)、デトロイト(米国)などと並ぶ世界5大ショーに位置付けられてきた。
しかし、バブル崩壊で潮目が変わる。来場者数は第29回(91年)の200万人超をピークに減少に転じ、リーマンショック後の2009年には来場者数も61万人にまで落ち込んだ。
ただ、こうした傾向は主要先進国のモーターショー共通だ。停滞を打破しようと19年の前回ショーでは、都市の未来とモビリティの融合を示した「フューチャーエキスポ」や、家族向けの「キッザニア」、ドローン(無人航空機)レースといった新たな試みを取り入れた。東京ビッグサイト(東京都江東区)周辺に開催エリアを広げたことも奏功し、来場者は17年の約77万人から約130万人にまで増えた。
ショーの開催は4年ぶりとなる。コロナ禍で「移動すること」「集まること」が制限された一方で、移動の重要性が再認識された。コロナ禍を乗り越えた今、モーターショーをさらに新しい姿へと発展させる日本の取り組みは、市場活性化などにとどまらず、海外の自動車関係者からも注目が集まりそうだ。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月10日号より