タイヤ脱落事故の続発を踏まえ、国土交通省は、自動車関連事業者や一般ドライバーに向けて、タイヤ点検の励行を改めて呼びかけた。今年4~11月累計の大型車のタイヤ脱落事故発生件数が前年並みで推移していることに加え、冬用タイヤに交換する冬季に入って以降、大型車に限らず乗用車でもタイヤ脱落事故が目立つようになった。国交省は、タイヤ脱着後や運転前に増し締めを徹底するなど、点検の重要性を啓発し、事故防止につなげたい考えだ。
国交省の調べによると、2022年度に発生した大型車のタイヤ脱落事故の約6割が、冬用タイヤなどに交換後に発生したことがわかっている。主な発生原因は、規定の締付トルクで締め付けられていないなど「タイヤ交換時の作業不備」や、増し締めが行われていないなど「タイヤ交換後の保守管理の不備」の2点に大きく集約される。
また、事故を起こした車両のタイヤ交換時期は11月に集中し、交換後1カ月以内に脱落が起きている。短期間に冬用タイヤの交換作業が集中することで、作業時間の制約が生じ、本来実施すべき作業を省くなど、正しい作業が行われていないとの見方も示す。
今年4~11月累計の大型車のタイヤ脱落事故発生件数は、前年同期比1件減の53件(速報値)で前年並みで推移している。例年、11月から3月にかけて事故が増えることから、運送事業者などは従来にも増して点検の徹底が求められる。
11、12月には島根県と青森県で走行中の大型車からタイヤが脱落し、道路の近くにいた作業員や歩行者が死傷する事故が相次いだ。北海道でも12月、走行中のトラックや軽乗用車からタイヤが外れて、周囲の歩行者や車両に衝突する事故が起きた。自家用車ユーザーも他人事ではない。
国交省では、大型車のタイヤ脱落事故防止対策の一環として、同省のウェブサイトで事業者やユーザー向けにタイヤ脱着作業のポイントをテキストや動画などで紹介している。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月28日号より