自動車公正取引協議会(八郷隆弘会長)は自動車メーカーやディーラーなどに対し、テレビCMやインターネット動画などで「自動ブレーキ」「自動運転」などの用語を使うことを禁じる。消費者の誤認や過信を防ぎ、先進安全技術を円滑に普及させることが狙いだ。自動車公正競争規約に基づくガイドラインを改訂し、来年1月1日から適用する。
同協議会は、2014年10月に「先進安全技術の表示に関する規約運用の考え方」、16年12月に「自動運転機能の表示に関する規約運用の考え方」として、それぞれガイドライン(指針)を策定し、消費者が誤解しないよう、広告表現に一定の制約を設けてきた。ただ「自動ブレーキ」「自動運転」といった表現は、国やメディアなどですでに広まり始めていたため「作動には一定の条件がある」といった打ち消し表示を条件に認めていた。
ただ、同協議会が1月に実施した調査では、新車ディーラー従業員の6割近くが「テレビCMの影響で消費者が機能を過大評価している」と回答。消費者側も、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)などの機能を正しく理解している人が半数にとどまることなどが判明したことから、二つの指針を一本化した上で規制を厳しくすることにした。
新指針は、レベル2(運転支援)」の車両広告で「自動運転(技術)」という表現を禁止し「運転支援」「ドライブアシスト」などに言い換えるよう求める。また「自動ブレーキ」はテレビやラジオCM、インターネット動画での使用を全面禁止し、カタログや新聞広告などでは「自動(被害軽減)ブレーキ」などと言い換えるようにする。このほか「自動で停止」「ぶつからない」など、運転操作をしなくても機能が作動するように誤認される表現も禁じる。同協議会は「先進技術の普及促進にブレーキをかけたくないという思いもあるが『自動』という言葉が独り歩きして誤認されるようになった」と説明する。同協議会では今後も先進安全技術の進歩に合わせ、指針を見直していく方針だ。
※日刊自動車新聞2018年(平成30年)11月26日号より