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自動車業界トピックス

ガソリン価格値上がりで「激変緩和措置」発動

店頭価格への反映まばら

ガソリン価格の急激な値上がりを抑える「燃料油価格激変緩和対策事業」の発動により、27日から石油元売り事業者などの卸価格に政府補助金の反映が始まった。初回は原油市場価格の上昇幅などを加味した1㍑当たり3.4円を支給。同日からのガソリンスタンド(給油所)の荷下ろし分に適用されている。一方、激変緩和措置がスタートしたばかりでもあり、現段階で店頭価格の動きはまばらだ。事業を所管する萩生田光一経済産業相は28日の閣議後会見で、給油所の全数調査などを通じ「しっかりと小売価格の動向をフォローアップする」と述べ、政策効果を見極めつつ、実効性を高めていく考えを示した。

会見する萩生田経産相

激変緩和措置について萩生田経産相は「さらなる高騰を抑えるもので、値下げを狙う制度ではない」と政策の狙いを強調する。しかし、初回は発動基準であるレギュラーガソリンの全国平均の店頭価格170円を超えた0.2円分も支給対象に加えており、若干の値下がり効果があるとの見方もあった。店頭価格の動きが鈍いのは各店舗で旧卸価格の在庫分が残っているほか、競争環境が厳しいため周辺の競合店の出方を探っているケースが多いとみられる。

萩生田経産相はここまでの動きについて「各ガソリンスタンドの在庫状況によっては小売価格への反映に1、2週間程度かかる可能性もある」との実情に理解を示した。その上で、小売事業者に対して「制度趣旨を踏まえた対応をお願いしたい」と、適切な価格設定を改めて要請した。

一方、石油価格を巡る今後の見通しは不透明感が増している。昨年から今年にかけての原油需要の変動は、新型コロナウイルスの変異種「オミクロン株」の影響が大きい。萩生田経産相は「この問題が一時的であるとの見方がある」としたものの、感染症問題に加えて「一部の産油国での生産停滞やウクライナの情勢などを受け、原油価格が上昇傾向にある」との危機感もあらわにした。

2月2日には石油輸出国機構(OPEC)の加盟・非加盟国でつくる「OPECプラス」の閣僚級会合が予定されている。萩生田経産相は「最近の需給の引き締まり感を踏まえ、国際原油市場の安定に向けた議論がなされることを期待している」とし、日本としても「さまざまなチャンネルを通じて主要産油国に対して今まで以上に働きかけていく」方針を示した。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月29日号より