スバルは19日、独自の先進安全機能「アイサイト」の進化に向け、米半導体企業のAMDと協業すると発表した。AMDは最新SoC(システム・オン・チップ)をアイサイト用にカスタマイズしてスバルに供給する。人工知能(AI)を使った画像認識をコストや消費電力を抑えた小型チップで実現する。スバルは2030年までに量産車への搭載を目指す。
AMDの最新SoC「バーサルAIエッジ」の「Gen2(第2世代)」をベースに、カメラの画像処理などに必要な独自回路を追加し、不要な部分を省いたカスタム品を供給する。最新SoCは先代に比べてAIエンジンの性能を2倍に、消費電力1㍗当たりの処理速
度は3倍にそれぞれ高めた。
スバルは「2030年死亡交通事故ゼロ」に向け、この新SoCを用いてアイサイトを改良する。AIにより画像認識能力を高め、より複雑な環境下で精度良く検知物を認識し判断することを目指す。
スバルは20年12月、「スバルラボ」をIT企業が集積する東京都渋谷区に開設し、AIの活用に関する技術研究を進めてきた。AI半導体は日進月歩で進化しており、性能やコストなどの情報を水面下で共有しながら、供給先の候補をAMDに絞り込んだ。ラボではステレオカメラとAI画像処理のみで雪上でのハンズオフ走行を可能にする技術開発などを進めている。
スバルの柴田英司執行役員CDCO(最高デジタルカー責任者)は「死亡交通事故ゼロの目標達成に向け、(チップを車載に)必要な形に最適化して採用した。ITを積極的に使う大きなチャレンジで、商品化して成果を出したい」と語った。AMDのコーポレートバイスプレジデントオブAIプロダクトマネジメントのラミン・ローン氏は「スバルは車載カメラの領域でトッププレーヤーだ。当社にとっても製品の品質向上に向けた学びと資産になる」と話した。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月22日号より