トヨタ自動車は13日、ダイハツ工業の新体制を発表した。3月1日付でトヨタ中南米本部長の井上雅宏氏(60)が新社長に就く。新たな事業体制ではトヨタ向けの小型車開発や生産体制をトヨタからの委託に切り替え、主力の軽自動車事業に集中する。認証不正で表面化した「身の丈を超えた開発体制」を是正する体制へとシフトし、ダイハツの強みである軽自動車事業にリソースを集中させる。
都内で開いた会見で佐藤恒治社長は「小型車を中心にあるべき姿を検討していく。再発防止の着実な実行、基盤づくりを推進するために経営体制を変更する」と語った。
ダイハツのトップに就く井上氏は、トヨタで中南米事業の構造改革に取り組んできた。佐藤社長は井上氏のトップ就任の理由として「徹底的に対話して改革を前に進めてきたリーダー。ダイハツの経営をけん引していく」と語った。井上氏は「ワンチーム、ワンボイスで課題に取り組む。ダイハツ再生に全力を尽くす」と述べた。また、副社長に星加宏昌氏に加えてトヨタ自動車九州副社長の桑田正規氏が就く。法規認証に知見を持つ柳景子カスタマーファースト推進本部副本部長も取締役に就く。松林淳会長、奥平総一郎社長は退任する。
ダイハツの認証不正の背景には、過度な開発期間の短縮を求めたプレッシャーがあったとされる。また、トヨタ向けの登録車や東南アジア向けの車両開発が増えたことも不正の遠因となった。新たな事業体制では、主力の軽に軸足を置く一方、ダイハツがトヨタ向けの小型車の開発や生産も手がける海外事業は、トヨタからダイハツへの委託に切り替え、負担を軽減する。
新体制の方針については4月に改めて発表する。トヨタの佐藤社長は「原点に立ち戻り、ダイハツらしさを取り戻していく」と述べ、将来的にはラストワンマイルも視野に入れたモビリティカンパニーに向けてあるべき姿を模索するとの考えを示した。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月14日号より