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自動車業界トピックス

チャデモ協議会、充電の認証・決済を自動で行う「プラグ&チャージ」の規格化を検討

CHAdeMO(チャデモ)協議会(姉川尚史会長)が、電動車の充電時に認証や決済を自動で行う「プラグ&チャージ」の規格化を検討していることが分かった。チャデモ規格の特徴である双方向給電機能(V2X)を活用してユーザーの利便性を高めるほか、電力を無駄なく使える社会を目指す。北米市場では、米テスラの急速充電規格「NACS」がデファクトスタンダード(事実上の標準)になりつつある。チャデモはEVの〝生涯コスト〟を抑える機能も加えて巻き返しを図る。

米テスラのNACSはプラグ&チャージで北米のデファクトスタンダードになりそうな勢い

チャデモ協議会は、東京電力と国内自動車メーカーによる団体で、日本発の急速充電規格「チャデモ」の運用や普及を担っている。チャデモの次世代規格「3.0」は500㌔㍗超級の高出力対応や、充電ケーブルの小型・軽量化、既存充電器との互換性を持つことなどが特徴だ。

チャデモ規格はまた、相互通信機能によってバッテリーに過度な負荷をかけずに急速充電することが可能で安全性が高いことも特徴だ。V2Xにも対応しており、EVを蓄電池として住宅に電力を供給する「V2H」にはすでに対応済みだ。欧米で普及する「コンボ(CCS)方式」はV2Hに対応していない。

ただ、EVの普及が日本より進む欧米でチャデモは劣勢だ。特に国土の広い米国では、充電網の整備費用を抑えようとテスラの専用規格であるNACSの採用を表明する自動車メーカーが相次いでいる。手をこまねいていれば、日本市場でも輸入車勢が規格対応のためのコスト負担を嫌い、チャデモからNACSへと乗り替える可能性がある。

NACSは、充電ケーブルを車両に挿すだけで充電が始まるプラグ&チャージ機能を実装する。こうした利便性がEV普及の後押しになると自動車メーカーも注目しており、トヨタ自動車は26年以降に市場投入する次世代EVでプラグ&チャージへの対応を検討する。チャデモ協議会もこうした流れを踏まえ、充電器側でも通信機能を生かしたプラグ&チャージの規格化を急ぐことにした。

V2Xでは、V2Hに加え、EVを系統電力網に接続し電力をやりとりする「V2G」機能の実装を目指す。規格化には、国や電力会社ごとに異なるグリッドコード要求事項への対応が必要になるが、標準規格ができれば地域の電力会社に求めに応じ、電動車を電力需給の調整役に用いたり、交換された車載電池を活用しやすくなるなどの効果が見込める。チャデモ協議会の姉川尚史会長は「EVの弱点はコストが高いことだが、他の用途で利用することで経済性を高めることができる」と語った。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)3月12日号より