オランダの地図大手トムトムは、世界主要都市における渋滞など交通状況の調査結果をまとめた2021年版の「トムトム・トラフィック・インデックス」を発表した。調査対象とした世界58カ国404都市のうち、約7割の283都市で新型コロナウイルス感染拡大前の19年調査結果と比べて渋滞レベルが低下した。国や地方自治体によるロックダウン(都市封鎖)や移動制限、在宅勤務の普及などコロナ禍における人々の行動変容や働き方の変化が渋滞レベルに影響した。低下傾向は2年連続となった。
21年の世界全体の渋滞レベルは、19年比で10%減少。ピーク時は19%減の大幅な低下となった。また、多くの都市で移動制限などによる例外的な交通量の低下から制限解除後の急激な増加まで、年間を通じて交通量の極端な変動が見られた。
また、世界中の多くの企業で、デジタルツールを活用した在宅勤務や時差出勤など柔軟な働き方を採用したことから、世界の約4割の都市で通勤ラッシュの時間帯が従来の時間帯から変化した。米国や英国など一部の国の都市では、ピーク時の交通量が減少し、日中を通して交通量が分散した。同社は「eコマースのさらなる普及やそれによる物流の変化が関係している。新型コロナウイルスの感染拡大は、人々の消費行動の変化を加速させた」と要因を挙げた。
21年に最も渋滞が激しかった都市は、渋滞レベル62%のトルコのイスタンブールだった。同レベルの数値は、ドライバーが交通渋滞に巻き込まれ、平均62%余分に運転を要したことを意味する。2位はロシアのモスクワ(同61%)、3位がウクライナのキエフ(同56%)だった。一方、19年に同71%で上位だったインドのベンガルールとフィリピンのマニラは、それぞれ10位と18位に低下した。
日本で最も渋滞レベルが高かったのは43%の東京で、世界17位だった。次いで大阪(渋滞レベル36%、世界34位)、名古屋(同34%、49位)、札幌(同30%、81位)、神戸(同29%、94位)だった。いずれの都市も、増減幅は前年比、19年比ともに1~3㌽だった。
東京で最も渋滞レベルが高かったのは、緊急事態宣言が解除されて初めての金曜日だった3月26日(67%)だった。大阪では、飲食店の営業時間の時短要請が解除された後の10月25日(55%)が最も高かった。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月21日号より