政府による「トラック輸送の省エネルギー化推進事業」に関する補助金申請の受け付けが7月12日から始まる。トラック事業者と荷主などの連携を後押しする制度設計とし、車両動態管理システムなどの導入経費を一部補助する。トラック輸送における2030年省エネ目標や、「50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)」実現に向けた取り組みを加速するため、優遇対象車や上限台数の特例措置も新たに加えた。
トラック事業者と荷主などの連携を要件に「車両動態管理システム」「予約受付システムなど」「配車計画システム」と「AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)によるシステム連携ツール」の導入に必要な経費の一部を補助する。トラック輸送の産業構造に切り込み、トラック事業者と荷主などが協力して輸送効率化に取り組むよう促すのが狙いだ。補助金交付の条件として、導入システムを活用した取り組み状況と省エネ効果を国に報告することを求める。
予算額は約34億4千万円(前年度は約35億5千万円)。申請受付期間は1次公募が7月12~25日、2次公募が8月9~22日、3次公募が9月8~21日とする。事業期間は、交付決定日から12月20日までを予定する。
優遇対応車として①電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、水素燃料車両(燃料電池自動車を含む)、バイオマス(生物由来)燃料・合成燃料を使用するトラックなどの「非化石トラック」②省エネ法に基づく自動車燃費目標基準「2025年度目標」を満たすトラック―と2種類の要件を定めた。
また、特例として優遇対象車の要件を満たしたトラックに車両動態管理システムを搭載する場合に限り、該当トラックは1事業者当たりの上限台数(30台)に含めず補助金を出す。ただし、今年度の上限台数は優遇対象車を含めて最大60台までとする。
このほか、1事業者当たりの補助金上限額を一部の補助対象システムで引き上げた。予約受付システムに含まれる4種類のシステムと、配車計画システムだ。予算も前年度から1500万円増やして4千万円を確保した。
運輸部門におけるエネルギー消費の約4割はトラック輸送が占める。ただ、トラック輸送だけの省エネ化には限界があり、積載率を高めたり、荷待ち時間を減らすなど非効率な商慣行も見直していく必要がある。政府としては、補助制度によりトラック事業者と荷主が連携して輸送の効率化を進める効果に期待している。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)6月19日号より