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自動車業界トピックス

ビッグモーターが会見、兼重社長が引責辞任 組織的関与を否定

陳謝するビッグモーターの兼重宏行社長(写真中央)

自動車保険の不正請求問題が判明したビッグモーター(東京都港区)は25日に都内で会見し、創業者の兼重宏行社長が26日付で退任し、和泉伸二専務が社長に昇格すると発表した。兼重社長の長男の宏一副社長も退任する。兼重宏行社長は「関係者のみなさまに多大なるご迷惑をおかけした」と陳謝した。ただ、不正については「全く知らなかった」「組織的関与はない」などと、一連の報道内容とは食い違いを見せた。経営トップの辞任だけで事態が収束するかは不透明だ。

兼重社長は「経営から完全に退く」と語った。ただ、ビッグモーターは、兼重親子が株主の資産管理会社「ビッグアセット」の100%子会社だ。社長を退任しても株式は持ち続けるという。

「息子の宏一副社長がほとぼりが冷めたころに社長に就くのではないか」との質問について、兼重社長は「今のところ考えていない」と語った。その直後、隣に座っていた陣内司・管理本部部長が「(兼重親子は)経営からは完全に引いてもらうことになっている」と社長の発言を修正する場面もあった。

弁護士らによる特別調査委員会で、同社では顧客の車に工具で故意に傷をつけるなどして自動車保険金を水増し請求していたことが大量にあったことが判明している。会見で兼重社長は「調査報告書を6月26日に受け取るまで全く知らなかった。本当に驚いた。そのようなことをやった社員については、調査して刑事告訴したい」と語った。しかし、会見後に刑事告訴は撤回した。

不正については組織ぐるみではない、と否定した。

また、一部報道の通り、損害保険各社から出向者を受け入れていたことも明らかにした。「損保も不正を知っていたのではないか」という質問については「知らなかったと思う」と述べた。

不祥事が発覚してからの事業への影響について、兼重社長は「利益は確保できている」と語ったが、次期社長に就く和泉伸二専務は「不正について報道されるようになってから、中古車販売、買い取りなどは通常の半分になっている」と明かした。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)7月26日号より