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自動車業界トピックス

ビッグモーター事業を引き継ぐ新会社「WECARS」発足

法令順守浸透が最大の課題

左から、ウィーカーズ副社長の山内務氏、社長の田中慎二郎氏、伊藤忠商事の真木正寿執行役員

自動車保険金の不正請求問題を起こした旧ビッグモーターの事業を引き継ぐ新会社が5月1日付で発足した。社名は「WECARS」(ウィーカーズ、東京都千代田区)。旧ビッグモーターの買収を決めた伊藤忠商事、伊藤忠エネクス、再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP、佐藤雅典社長、東京都千代田区)の3社連合の出資金額は約400億円という。

伊藤忠商事が1日、都内の本社で会見し発表した。

新会社の社長には同社元執行役員の田中慎二郎氏(61)が、社外取締役に前消費者庁長官の伊藤明子氏(62)が就く。伊藤氏は国土交通省出身で現在は伊藤忠商事やキヤノンの社外取締役を務める。

新会社は全国の約250店舗と約4200人の社員を引き継ぐ。伊藤忠商事からも約50人超が新会社入りして再建を目指す。今後、グループからさらに出向を増やすという。

 旧ビッグモーターの不祥事が発覚したのは2023年7月のことだ。その直後は中古車販売が通常時の1~2割にまで落ち込んだが、最近は3~4割程度に戻ってきているという。買取台数は約半分に落ち込んだが、同様に8割近くに戻った。

ただ、直近でも社内で不祥事がおきており「コンプライアンス(法令順守)意識の浸透が最大の課題」という。

また、旧ビッグモーターは23年12月1日に損害保険代理店の登録取消処分を金融庁から受けた。2年間は再登録できず、中古車販売の大きな課題になっている。「ワンストップサービスとはいかないが、(伊藤忠子会社の)『ほけんの窓口グループ』を顧客に紹介していきたい」という。伊藤忠商事の真木正寿執行役員は「もともと中古車トップ。早くナンバーワンに復帰してほしい」と語った。

一方、会社分割で旧会社(存続会社)となった旧ビッグモーターは社名を「BALM」(東京都多摩市)に変更した。創業家の資産管理会社が持つ株式はすべてJWP側に譲渡された。訴訟や借入金の返済、損害保険会社への不正請求の対応などをしていく。旧ビッグモーターの和泉伸二社長が社長を続ける。伊藤忠によると、旧会社も条件が整ったら会見するか、取り組み状況を公表するなどの意向を示しているという。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)5月2日号より