メルセデス・ベンツ日本(MBJ、上野金太郎社長、東京都品川区)は、2022年内に「EQ」シリーズの新型電気自動車(EV)3車種を国内導入する。セダンタイプの「EQS」「EQE」と3列シートのSUVタイプ「EQB」を年央から年末にかけて順次投入する方針で、既存の「EQC」「EQA」と合わせてEVを計5車種ラインアップする。ボディータイプの選択肢を増やし、シリーズ販売台数引き上げにつなげたい考えだ。
日刊自動車新聞の単独インタビューに応じた上野社長が26日明らかにした。半導体不足に伴う新車供給遅れの影響などを受け、詳細な発売時期は検討段階にあるとするものの、年内の導入を目指して準備を進める。
EQSとEQEはクーペ調の曲面的なルーフラインを持つ4ドアセダンで、航続距離はEQSが770㌔㍍(欧州仕様)。EQBはベース車の「GLB」同様に3列シートを備えたSUVで、2列シートSUVのみだったEQシリーズの選択肢が増加することになる。
とりわけEQBは、投入予定車も含めて国内では3列SUV型EVのライバルが存在しないことから、「ファミリー層にも選ばれやすくなるのでは」(上野社長)と、需要掘り起こしに期待がか
かる。実際に、21年の販売台数でGLBは前年比61.7%増の5812台で、メルセデス・ベンツ(MB)ブランド全体では「Aクラス」に次ぐ売れ行きを見せた。人気のボディータイプをEVにも設定し、市場での地位を早期に確立したい考えだ。EQSやEQEについても「内燃機関車で対応するのが『Sクラス』や『Eクラス』となるだけにモデル単独で数が多く出るわけではないが、選択肢が増えることで多様なボディーサイズの中から選ばれやすくなるのでは」(同)と見る。
EQCとEQAを合わせた21年の販売台数は1100台超で、外国ブランドではテスラに次ぐ規模だった。5万台超を数えるMBブランド全体に占める割合は2%程度にとどまるものの、「年後半は月当たり200~300台ペースで販売できた」(同)と右肩上がりで推移する。22年は既存車種をさらなる成長軌道に乗せるとともに、新型車効果も追い風としてEQシリーズの販売台数上積みを狙う。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)1月28日号より