自動車メーカーの新卒・キャリア採用の手法が多様化している。トヨタ自動車は、2022年卒の技術系の新卒採用方法を、学校推薦から自由応募に変更する。日野自動車は、専門特化型の人材を確保するため、人事や賃金制度の見直しを検討する。部品メーカーでも、オンライン採用の利点を生かして、企業から遠方に住む学生との接点を増やす動きもある。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などの自動車技術の進化に対応するための人材獲得競争が激しさを増す中、各社は従来と異なる方法で採用活動を展開して多様な人材を確保し、競争力強化につなげる。
トヨタは、大学や高等専門学校、高校へのアプローチを強化するとともに、22年春に卒業・修了予定の技術系の新卒採用方法を事務系と同様、自由応募制とする。学生に多様な選択肢の中から「最も力が発揮できる場所を選んでもらい、競争力強化に向けた社内の風土・意識改革、仕事の進め方、働き方の変革につなげていく」(採用担当者)のが狙い。個人の意思で応募できる環境を整え、多様な人材を確保する。仕事内容を体感できるワークショップや少人数での座談会なども実施し、より多くの学生に同社に対する理解を深めてもらう。
電動化や自動運転技術への対応が迫られる中、自動車メーカーは従来、採用を重視してきた機械系や制御系エンジニアに加え、ソフトウエアや人工知能(AI)、サイバーセキュリティーなど、IT関連の人材確保が重要となる。
日刊自動車新聞社が自動車・二輪車メーカー14社を対象に実施したアンケートの結果、特に不足している職種としてデータサイエンティスト(10社)が最も多く挙がった。ソフトウエア開発(9社)や電気系(9社)、制御系(8社)、AIエンジニア(7社)の不足感が目立つ。
部品メーカーの22年春の採用計画でも、NOKやKYB、豊田自動織機、日本電産などは、技術系の採用人数を今春採用人数よりも大幅に増やす計画だ。
※日刊自動車新聞2021年(令和3年)4月14日号より