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自動車業界トピックス

ロシアへの経済制裁、日本企業へ増大するリスク

自動車関係はすでに影響表面化

ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する欧米の経済圧力で、日本企業のロシア事業の先行きにも不透明感が漂ってきた。世界の銀行決済網「国際銀行間通信協会」(SWIFT)からロシアの一部銀行を排除することを決め、岸田文雄首相が日本も参加する意向を表明した。SWIFTからの排除は最も厳しい制裁の一つとされ、ロシアとの貿易決済が滞る可能性がある。ロシアにはトヨタ自動車、日産自動車などが生産拠点を設けるほか、日本から輸出する中古車の最大仕向け地でもある。ウクライナ情勢の悪化を巡っては原油価格高騰など世界経済への影響がすでに表れており、資源・エネルギー価格のさらなる上昇リスクにさらされる中、各社は引き続き状況を注視している。

中古車輸出への影響は避けられない見通し(写真はイメージ)

ロシアに生産拠点を構える日本の自動車メーカーはトヨタ、日産、三菱自動車、マツダ、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バスの6社。サンクトペテルブルクで「カムリ」や「RAV4」などを年間約8万台生産するトヨタは、工場の稼働に影響は出ていないものの、各国の金融制裁による影響の調査を進めている。ウクライナの販売店は現地政府の総動員令で販売再開の見通しが立たない状況だ。

各社は情報収集に追われている。サンクトペテルブルクに工場を構える日産は、工場の操業やウクライナでの販売が継続しているかどうかも含めて確認中だ。別の自動車メーカーからは「通信障害で現地の情報が届かない」という声もある。

サプライチェーンの影響も懸念される。すでにフォルクスワーゲンやルノーがウクライナからの部品供給の遅れで一部の生産拠点の操業を停止することを決めている。日本のサプライヤーもロシアや、ウクライナなどの東欧諸国に進出しており、日本の自動車メーカーにも広がる可能性がある。国内の流通業界で影響が表れそうなのが中古車輸出事業者だ。ロシアへの日本からの輸出台数は昨年、8年ぶりに国別で最多となった。1月は1万台を超える規模の中古車が輸出された。SWIFTからの排除による決済の乱れや相場への影響は避けられない見通しだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)3月1日号より