28日の東京外国為替市場では一時、ドル円相場が1㌦=123円を付けた。123円台を付けるのは約6年3カ月ぶり。過去にないレベルの原材料高が収益を圧迫する自動車業界だが、円安方向で推移するドル円相場が自動車メーカーの2022年3月期決算の追い風になりそうだ。
22年3月期通期のドル円レートは1㌦=111円、112円で設定している自動車メーカーが多い。21年から円安方向にあったものの、足元での米連邦準備理事会(FRB)による利上げ方針を受けてドル高と円安が一気に進行。22日に120円台を付けた後もさらに円安方向に動いており、各社の想定レートより安い円相場で推移する。
輸入品の物価上昇などで一般家計にはマイナス要因にもなる円安だが、輸出産業の自動車メーカーの業績にはプラスに働く。対ドルの円相場が1円安くなった場合の営業利益の増減額を示す為替感応度は、上場する自動車メーカーの合計で約800億円に達する。22年3月期の通期決算では、サプライチェーンの混乱と原材料・原油高といった悪材料を為替差益と企業努力でどこまで打ち消せるかが焦点になる。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)3月29日号より