【広島】中国運輸局、中国経済産業局、広島労働局の3機関は、トラックドライバーの残業規制などで物流の輸送量減少が予想される「2024年問題」の解決に向け、中国地方での活動を中心とした荷主企業が加盟する中国経済連合会(清水希茂会長=中国電力会長)に協力を要請した。トラック運送事業の取引環境適正化・労働環境改善に向け、会員企業へ理解と協力が得られるように周知を求めた。
国の出先機関が合同で要請を出すのは西日本で初めて。中国運輸局の益田浩局長、中国経産局の青木朋人局長、広島労働局の阿部充局長が中経連事務局が入る中国電力本社ビル(広島市中区)を4月26日に訪れ、清水会長に要請書を手渡した。
トラック運送事業者から運賃交渉の申し出があった場合は積極的に応じ、燃料費などのコスト上昇分を考慮して協議することや、荷物の積み下ろし時に長時間待機するような荷待ちが発生しないように配慮するよう協力を求めた。
要請書を受け取った清水会長は「地域経済の円滑な活動を促進する上でも、効率的・安定的な物流を実現することが重要で、24年問題は経済界としても喫緊の課題と認識している」と話し、「会員企業に対し周知と理解の促進に努める」とした。
中国地方では、このまま何も手を打たなければ24年に20.0%のトラック輸送能力が不足することが予測されている。この数値は全国9つの地域の中で一番厳しい割合で、主に近畿・九州方面に荷物を運ぶ中国地方では、中途半端な距離であることから海運や鉄道にシフトしづらい事情があり、物流が滞ってしまう危機感が高まっている。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月2日号より