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自動車業界トピックス

中小企業庁、中小企業が価格転嫁しやすい環境整備を加速

年1回以上の価格協議求める

中小企業庁は、中小企業がコスト上昇分などを価格転嫁しやすい環境整備を加速する。交渉における企業への指導や助言の根拠となる下請中小企業振興法の「振興基準」を改訂し、大企業に対して年1回以上の価格協議の実施などを求める。自動車を含む製造業は他業種と比べてエネルギー価格や労務費の上昇分を転嫁しにくい状況にある。基準を明確にすることで、取引の適正化を促していく。

中小企業の価格転嫁を促進していく

今回の振興基準の改定で、毎年9月と3月に実施している「価格交渉促進月間」などを機会に、年に1回以上の価格協議を実施することを新たに追加した。中小企業における賃金の引き上げを前提に協議を行った上で取引対価を決めることも盛り込んだ。中企庁が中小企業を対象に6月に実施した調査によると、約2万5千社のうち1割程度が「価格交渉の協議ができていない」と回答しており、交渉の場を積極的に設けるよう大企業や親事業者に呼び掛けていく。

コスト上昇分に関しても、「中小企業から申し出があれば遅滞なく協議を実施すること」という項目を新たに追加した。中企庁の調査によると、「自動車・自動車部品」業は他の業種と比べて、労務費とエネルギーコストの価格転嫁ができておらず、転嫁状況は全27業種のうち25番目だった。

原材料費に関しても、ウクライナ情勢の影響などで「鉄の価格が大幅に上がっているのに価格転嫁をなかなか受け入れてもらえない」(シャフトやジグを製造する中小企業)との声もある。中小企業へのしわ寄せを改善し、賃上げ原資を確保できるよう環境を整えていく。

9月から始まる価格交渉促進月間に向け、岸田文雄首相などが適切な価格転嫁の実施を呼び掛けるメッセージを公開したほか、促進月間中に調査を実施し、交渉の実態が芳しくない大企業などには指導や追加の調査も実施する。日本のものづくり産業を支える中小企業の発展に向け、政府としても適切な価格転嫁を後押ししていく。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月31日号より