中小企業庁が実施した調査で、中小企業の約2割がコスト上昇分を発注側企業との取引価格に転嫁できていないことが分かった。中でも自動車関連の製造業やトラック輸送業の価格転嫁率は全業種の平均を下回っており、受注側企業の負担が他業種よりも大きい結果となっている。足元では原材料やガソリンの価格が高騰しており、中小企業を取り巻く状況は厳しさを増している。
中小企業約4万社を対象に、直近1年間における発注企業との価格交渉について調査した。コスト上昇分について、約4分の1の企業は上昇分をすべて転嫁できたと回答した。その一方で、約2割の企業が価格転嫁に応じてもらえなかったと回答。取引価格の決定方法に関しては、3割近くが「複数社による合い見積もりで決定」もしくは「発注側が一方的に決定」と回答しており、交渉の機会が少なかったことがうかがえる。
業種別で見た価格転嫁の達成状況では、全16業種のうち「自動車・自動車部品」は14位、「トラック輸送」は16位だった。
自動車・自動車部品では、8%近くの企業が「価格交渉に応じてもらえなかった」もしくは「値下げ要請をされた」と回答した。受注側企業からは「金型材料の鉄材は20年比で20%値上がりしているが、『そういう要請をしてくるのは御社だけ』と拒否された」などの意見が挙がった。
トラック輸送では「労務費およびガソリン代などコストの反映は十分ではなかった。価格表の改定には時間がかかり、市況にあわせた柔軟なコスト負担の対応が難しい」などの声が挙がった。また、価格交渉自体を申し込まなかった企業は半数以上に上っている。値下げ競争の激化で、2次、3次の請負業者がコスト転嫁を申請できる状況にないことが浮き彫りとなった。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)2月16日号より