乗用車メーカー8社の2022年上期(1~6月)の世界販売台数が生産台数を下回った。半導体不足の問題が広がった21年以降、生産面での制約を受ける中で、各社は在庫を活用し、販売台数を確保してきたが、生産制約の長期化で在庫水準が極限まで低下した。各社は半導体調達の努力を進め、早期の課題解決に向けて引き続き努力する方針だ。
22年上期の8社の世界販売台数は1122万2千台で、生産台数の1155万5千台を33万3千台下回った。半導体不足の問題が顕在化した21年上期は販売台数から生産台数を引いた台数が83万8千台と販売台数が生産台数を大幅に上回っていたが、21年下期はその差が52万7千台に減少。さらに22年上期に生産台数と販売台数が逆転した。
供給の制約がありながらも、これまで販売台数が生産台数を上回っていたのは、販売が在庫で耐え凌いでいたためだ。ただ、供給力の低下が長期化し、各社の在庫が「歴史的水準に下がった」(三菱自動車・池谷光司副社長)ことで販売台数も減少。一方の生産台数は、中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)の解消で一部メーカーは回復基調にあるものの、半導体の調達は依然として不安定な状況が続いている。輸送用船舶の確保も難航しており、本格的に挽回生産するまでには至っていない。
三菱自の米国の在庫は6月末で1カ月を切ったほか、もともと在庫が少なかったスバルの米国在庫は5月の決算発表時点で4日分程度で推移。日産自動車の持ち分法適用ベースの在庫は21年6月末時点で39万台あったが、22年6月末時点では23万台に減ったことで、4~6月の販売台数は同21.8%減の81万9千台に減少した。アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は「22年1~3月期に在庫は最低水準にまで落ち込み、4~6月期は需要の拡大に対し、既存の在庫を使った販売が難しい状況だった」と述べた。
乗用車メーカー各社は代替部品の活用や半導体メーカーとの契約の長期化、サプライヤーへの長期的な生産計画の提示などを進めており、日産は7~9月期以降に生産台数が回復に向かうと見込む。半導体不足などの影響を最少化し、販売台数を上積みしていきたい考えだ。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)7月30日号より