会計検査院は、ガソリン価格などを抑制するための補助金事業に関して資源エネルギー庁が最大約62億円で民間企業に委託しているガソリンスタンド(給油所)の小売価格調査について、調査の必要性も含めて「十分に検討すること」と指摘した。7日公表した2022年度の「決算検査報告」で「燃料油価格激変緩和対策事業」に対して指摘した。検査院は、全国の小売価格推移を把握するのであれば、同庁調査の結果を活用することで十分対応できるとの見解だ。
エネ庁は石油元売り各社に対する補助金の支給単価を決定するにあたり、同事業を始める前から同庁が毎週実施している約2千カ所の給油所を対象とした「石油製品小売市況調査」の結果を参考としている。
これとは別に、同事業開始の22年1月から全国約2万カ所以上の給油所を対象とした価格モニタリング業務の実施体制を構築。基金設置法人の全国石油協会が博報堂に事務局を委託。同社はイベント制作会社に再委託し、毎週、電話や現地調査を実施している。再委託費の上限額は62億円に上る。
検査院が2つの調査を比較したところ「価格の推移はいずれの調査も同様の傾向」だった。電話調査や現地調査の結果は非公表で、「報告を受けた同庁は、小売価格の上昇が適切に抑制されていたかなどについて、電話調査や現地調査の結果に基づく分析を行っていない」とし、「どのように小売価格の抑制に寄与しているのか不明」と指摘した。
それらを踏まえて検査院は、エネ庁が同事業を継続実施または今後同種の事業を実施する場合には「実施内容や実施方法、報告内容などについて十分に検討すること」との所見を示した。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)11月09日号より