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自動車業界トピックス

保険修理の「指数対応単価」引き上げ、車体整備業界が高い関心

材料費高騰で見積もりの「金額差まだ大きい」との声も

保険修理の見積もりをめぐり、工賃算出に用いる「指数対応単価」を大手損保各社が引き上げる方針を示したことに車体整備業界の関心が高まっている。指数対応単価とは別だが「材料費割合を微増させる損保が増えてきている」との声がすでにある一方で「金額差はまだ大きい」との指摘も。日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)の泰楽秀一・調査研究委員長は「指数対応単価なら自社のレバーレート、材料代なら1台ごとに原価計算を行い、請求の根拠を示していくことが重要になる」と話している。

塗料や副資材、電力などが軒並み値上がりしているが…

指数対応単価に関しては、2日の参議院予算委員会で、西田実仁議員(公明党)が原材料費やエネルギー価格の高騰などを念頭に「コスト上昇を取引価格に反映するために価格交渉をするよう損保業界に促すべきではないか」と政府見解を訊ね、鈴木俊一金融担当相が「4月以降の工賃単価などの見直しにおいて考慮されるものと認識している」と答弁した。

その後、大手損保各社は「双方が納得できる適正な内容にしたい」(東京海上日動火災保険)などと、指数対応単価を見直す方針を相次ぎ表明した。

板金塗装工場と損保会社による修理代金の見積もりは、指数と指数対応単価、材料費割合などを用いて算出することが多い。ただ、いずれも「経済や板金塗装作業の実態に即していない」という声が以前からある。

日車協連が22年12月にまとめた実態調査によると、メーカーから塗料販売店への卸売りベースで、2010年以降に4~5回の値上げが行われた。1桁台だった値上げ幅(%)もコロナ禍を挟み、2ケタ台が定着。マスキングテープなど副資材の仕入れ価格は「(物価高騰が始まった21年比で)8~15%値上がりした」(泰楽委員長)という。

修理見積もりでは、塗装材料代を「指数×指数対応単価×材料費割合」で算出するケースが多い。材料費割合は各損保各社が提示しており、およそ10%台の後半から20%台の前半(塗膜種類で異なる)とされるが「22年4月の塗料メーカーによる調査で、見積もりと実績の金額差が大きいことが判明している」(泰楽委員長)という。

例えば、15~18%の材料費割合で、実績との金額差は2千~7千円だった。塗装個所が2倍になれば、金額差は倍以上に跳ね上がる。実績から割合を逆算すると、少なくとも20%台後半~30%台後半が必要で、板金塗装工場が利益を得るにはさらに高い割合が不可欠になる。

損保会社からの入庫誘導を受ける指定工場とそれ以外の工場の違いや、修理代金の根拠を示せるかどうかで交渉環境が異なるため、すべての板金塗装工場が同様の状況にあるとまでは言い切れない。ただ、業界の窮状が国会で取り上げられたことや、政府の賃上げ要請などを踏まえ、各事業者と損保会社による交渉の進展が期待される。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)3月22日号より