国土交通省は、中山間地域の「道の駅」を拠点とした自動運転サービスの導入手引きを今年度内にまとめる。これまでの実証で得たノウハウを体系化し、自治体や運行管理者などの参考にしてもらうのが狙いだ。今後は道路整備面でもこうした自動運転サービスに配慮していく。道路交通法の改正も追い風にまずは限定的な交通環境下で自動運転サービスを普及させ、将来的には一般道での自動運転サービスを目指していく。
導入検討から計画づくり、運営まで一連の流れを踏まえ「地域公共交通計画策定」「運行計画作成」「車両・機器運用」「運行サービス運用」「自動運行補助施設(路面施設)・交通安全対策の施行・点検」の5分野でそれぞれ手引きをまとめる。
道交法の改正に伴い、4月1日から一定の条件下で「レベル4」(特定条件下における完全自動運転)の車両が公道を走れるようになった。政府は、自動運転サービスに関する補助金や交付金制度などを整え、2025年度をめどに50カ所程度、27年度までに100カ所以上で自動運転サービスの実証にこぎ着けたい考えだ。道の駅は、駐車場やトイレなどの休憩施設や物販などの地域振興施設を備えた交通施設。国土交通省が93年から登録制度を設け、現在は全国に1209駅ある。
国交省は、これまでに道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実証実験を全国18カ所で実施した。このうち、秋田県上小阿仁村、滋賀県東近江市、島根県飯南町、福岡県みやま市は、地域住民や観光客などを対象とした自動運転サービス事業に移行した。同省としては、運営自治体に技術支援などを続ける一方で、これまでに得たノウハウを手引きにまとめ、他の自治体などの参考にしてもらうことにした。
国交省はまた、導入地域の特性や車両の特性に応じた道路インフラを整備するため、今後10年における自動運転車のインフラ整備計画の検討も進めている。ハードとソフトの両面で自動運転サービスの普及を後押ししていく。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)8月28日号より