ダイハツ工業の認証不正に関し、国土交通省は16日、同社の小型商用車「グランマックス」など3車種の型式指定を取り消す方針を固めた。同日夕、斉藤鉄夫国交相がダイハツの奥平総一郎社長に組織体制の抜本的な改善を求める「是正命令書」を手渡した。型式指定の取り消しと是正命令を出すのは、2022年3月にエンジン認証不正が発覚した日野自動車に続いて2社目だ。
斉藤国交相は同日の閣議後会見で、3車種の型式指定を取り消す手続きを始めたことを明らかにし「自動車認証制度の根幹を揺るがし、日本の製造業の信頼性に関わる大きな問題だ」と語った。ダイハツのグランマックスと同車種をベースにOEM(相手先ブランドによる生産)供給しているトヨタ自動車「タウンエース」、マツダ「ボンゴ」が取り消しの対象だ。国交省は23日にダイハツに対する聴聞を開き、結果を踏まえて取り消しを最終決定する。型式指定を取り消されると、再取得するまでは事実上、生産できなくなる。
3車種については、型式申請に必要な「オフセット前面衝突試験」「フルラップ前面衝突試験」で、本来はECU(電子制御ユニット)で作動させるエアバッグをタイマーで作動させるなどの加工を行っていたほか、申請を行う自動車と異なる構造の自動車を用いて試験を実施しており、悪質性が高いと国交省は判断した。
国交省がダイハツに出した是正命令は、自動車メーカーの完成検査問題などを受けて19年5月に施行した改正道路運送車両法に盛り込んだ行政処分で、型式指定の規定に関する違反を是正するため、必要な措置をとるべきことを命じるもの。
日本自動車販売協会連合会(金子直幹会長)によると、3車種の23年国内販売(バンを含む)は合計で2万1523台。内訳は、ダイハツのグランマックスが488台、トヨタのタウンエースが1万8822台、マツダのボンゴが2213台だった。
※日刊自動車新聞2024年(令和6年)1月17日号より