日刊自動車新聞社

モビナビ学生 モビナビ転職

新規会員登録は現在受付を休止しております

企業の採用ご担当者の方は「モビナビの求人掲載」

メニュー

自動車業界トピックス

国交省、ダブル連結トラックが通行可能な高速道路区間 2.5倍の5140kmに拡大

国土交通省は、ダブル連結トラックが通行できる高速道路区間を現在の2050㌔㍍から約2.5倍となる5140㌔㍍に拡大する。今秋に通達を改正し、対象路線を増やす。運送事業者にとって最重要課題である「2024年問題」の対策として、ダブル連結トラックは輸送力を確保を図るための選択肢の一つに挙げられる。路線を拡充することで運行台数の増加につなげ、トラック輸送の省人化や環境負荷低減の促進を図る。

ダブル連結トラックはトラック輸送の省人化や環境負荷低減に貢献する(写真は福山通運が導入しているダブル連結トラック)

国交省が15日に開いた社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の物流小委員会(委員長=根本敏則敬愛大学経済学部教授)で、拡充検討路線案を審議して了承を得た。

現在は、東北自動車道の北上江釣子インターチェンジ(IC)から九州自動車道の大宰府ICまで本州と九州の一部を通行可能だが、新たに常磐自動車道、南関東自動車道、関越自動車道、近畿自動車道、本州四国連絡道路、九州自動車道などの区間を追加する。

ダブル連結トラックの運行について物流事業者のニーズがあることや、高速道路本線が4車線以上で構造上の支障がない区間であることを踏まえて拡充検討路線を選定した。引き続き、運行状況や運送事業者の要望などを基に対象路線の検討と拡大を図る考えだ。

ダブル連結トラックに対応した駐車マスの整備も進める。拡充予定の通行区間における26カ所のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)などで、ダブル連結トラック優先駐車マスを新たに設ける。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に30分以上の休憩を確保することを求めた厚生労働省の改善基準告示「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準」を超過する箇所を2023年4月までに解消する。

運送事業者には、事前に登録した車両情報を基に通行経路検索、通行可否の確認、許可証と同等の効力を持つ回答書などをオンラインで入手できる「特殊車両通行確認システム」の活用を呼び掛ける。4月から運用を開始した新サービスで、書類などが必要で申請から許可まで約30日かかる現行許可制度と違い、オンラインで即時に確認できる。さらなる利便性向上に向けてシステムの改良を図り、利用者の拡大につなげたい考えだ。

国交省は、トラック輸送の深刻なドライバー不足を受けて、16年度に特車許可基準を緩和し運送事業者と連携してダブル連結トラックの走行実験を開始。19年1月29日から新東名高速道路を中心に本格導入し、19年8月には通行可能区間を現在の距離にまで拡充した。今年6月末時点で、ダブル連結トラックが駐車可能な駐車マスは95カ所のSA・PAなどで237台分整備済みだ。

国交省によると、同じ重量を輸送する場合、ダブル連結トラックは通常のトラックと比べて、ドライバー数で約5割、燃料消費量と二酸化炭素(CO)排出量で約4割の削減効果があったという。運行台数は、21年6月から今年6月の1年間で67台から205台と大幅に増加した。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)9月17日号より