国土交通省は、事業用自動車(緑ナンバー)の電動車導入支援を拡充する。2022年度の第2次補正予算案に21億2千万円を計上した。23年度予算の概算要求にも事業用自動車の電動車普及促進事業を盛り込んでいる。事業用車両は自家用より保有台数は少ないものの、長時間稼働するため二酸化炭素(CO2)排出は多い。国交省としては、事業用でも電動車の集中導入や代替を後押しし、運輸部門の脱炭素化につなげる。
「エネルギー・食料品などの危機に強い経済構造への転換」として「事業用自動車における電動車の集中的導入支援」などの施策を第2次補正予算案に盛り込んだ。事業用自動車は、自家用車と比較して1台当たりの走行距離や使用年数が長いことから、国交省はカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けて電動車への積極的な代替が重要とする。
国交省は今年度も「地域交通グリーン化事業」として、事業者や自治体向けに電動車や充電設備の導入支援を実施している。電気バス(EVバス)や燃料電池タクシー(FCタクシー)などに関し、車両や充電設備費用などの3分の1を補助するもの。第2次補正予算でも、ほぼ同様の内容となることが予想される。
国交省によると「EVバスを中心に電動車の購入や代替ニーズが増えている」(自動車局)という。申請件数を踏まえると、3億9200万円の今年度予算では申請に対応しきれない可能性があり、第2次補正で追加予算を手当てすることにした。23年度の予算案でも「地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進事業」として12億100万円を求めている。
第2次補正予算案の国交省分(国費総額)は2兆216億円。自動車関連事業ではこのほかにも「自動車整備業などの生産性向上のための実証調査」などに3億5千万円を計上した。自動車整備業界が抱える人手不足の解消に向け、業務管理などのデジタル化を図るシステムや、機器の導入支援・実証調査などを実施する。また、LPガスを使用するタクシー事業者に対する「燃料価格激変緩和対策事業」に165億円、23年度予算の概算要求で事項要求としていた「自動車事故による被害者救済対策の充実」などとして12億4900万円をそれぞれ計上した。
※日刊自動車新聞2022年(令和4年)11月10日号より