国土交通省は、2022年6月に成立した改正自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づいて、4月から実施する事故被害者支援対策と事故防止対策を盛り込んだ「被害者保護増進等計画」を公表した。計画期間は2026年度までの4年間。自動車事故被害者や遺族団体などで構成する検討会も設け、各事業の効果検証を毎年度、実施する。
同計画で策定した事業を実施するにあたり、計画期間中は23年度予算の水準である200億円規模の歳出が毎年度必要であると見込む。財源は、一般会計からの繰り戻しや積立金の取り崩しに加え、4月から自賠責保険料の一部として新たに設けた賦課金で年間約100億円を確保する。
事故被害者支援対策、事故防止対策ともに、目標と政府及び自動車事故対策機構(NASVA、中村晃一郎理事長)の取り組みを策定した。
同計画では、26年度までの期間中にNASVAが運営する千葉療護センター(千葉市美浜区)の大幅改装が必要であることも明記した。開業から約40年が経過して老朽化が進んでいるうえ、利用者ニーズの変化に対応して設備などの機能強化が必要という。
自動車事故の死亡者数は、1970年のピーク時(1万6765人)以降、過去最低を更新し続け、22年は2610人になった。交通事故発生件数と負傷者数も18年連続で減少している。政府は、21年3月に策定した第11次「交通安全基本計画」で、25年までに24時間死者数を2千人以下、重傷者数を2万2千人以下とすることを目標に掲げている。
一方で、新たに重度後遺障害者となった人の数は近年、横ばい傾向で推移しており、21年は1435人だった。高次脳機能障害をはじめ、常時介護は必要としないが生活に大きな支障を生じるケースが引き続き相当数、発生しており、長期にわたって支援を必要とする被害者はなお多いと見込まれる。
※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月20日号より